北海道銀行(本店・札幌市中央区)の頭取に兼間祐二氏(57)が就任して約5ヵ月、兼間カラーが徐々に見え始めてきた。堰八義博氏、笹原晶博氏に続くプロパー頭取3人目で、歴代8人目の頭取。今年は、設立70周年の節目でもあり、兼間氏の頭取就任は100周年を目指した新たな基盤固めのスタートを印象付ける。低金利、人口減少など厳しい経済環境の中でコロナ禍が不透明感を倍化させ、銀行経営は文字通り、知恵と実行が問われる局面に入ってきた。多極分散型の北海道では、新しい金融像の構築が不可欠。地域の信用金庫、信用組合との連携を強く打ち出している兼間頭取は、新しい金融像、道銀像をどう打ち出していくのか、インタビューした。
(かねま・ゆうじ)1964年6月生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業、同年4月道銀入行。2002年1月花川支店長、2003年7月経営企画グループ調査役グループリーダー、2005年10月経営企画部長、2011年7月鳥居前エリア統括兼鳥居前支店長、2013年4月執行役員オホーツク地区営業担当兼北見支店長、2015年6月執行役員札幌・石狩、空知地区営業担当、2016年6月取締役常務執行役員企画管理部門長。2017年6月ほくほくフィナンシャルグループ取締役、2019年6月北陸銀行執行役員、2021年6月頭取、ほくほくフィナンシャルグループ代表取締役副社長。
――お生まれはどちらですか?
兼間 生まれは木古内です。小さい頃、父親の仕事の関係で木古内、中頓別、興部、北見などを回りましたが、小学校高学年から札幌に来ました。大学の4年間は東京で過ごし、札幌に戻りました。1987年4月に入行してからは札幌、東京、再び札幌に戻り、釧路、石狩を経て2003年7月に経営企画部グループリーダーとして札幌に戻りました。
――頭取就任から、4ヵ月が過ぎました。少し落ち着かれましたか。
兼間 コロナ禍でなければ、お客さまの会でご挨拶をさせていただくのですが、そうした機会が極端に減り、十分にご挨拶ができていません。それぞれの地域に行っても、限られたお客さまにお会いするのが、精一杯です。北海道銀行やほくほくフィナンシャルグループの業務も年々とても増えていますが、FGが機能してきたことを実感しているところです。17年前に、事務局としてFGを立ち上げた1人としては、当時から見て相当なガバナンスや機能が拡充整備されてきたと思います。
FGの歩みが遅いように思われがちかもしれませんが、私たちからすると、いろいろなことをやろうとしても、その時々の課題が浮上してそちらの対応を優先するケースが多々ありました。公的資金の返済が最初の大きな命題でしたし、システム統一化という命題もありました。一つひとつを乗り越えながら、今に至っていると思います。
――あらためて頭取就任の抱負をお聞かせください。
兼間 前例踏襲型でなく、未来を見据えた強い経営体質をつくるため、今、やらなければならないことをやるということです。これはいささかもぶれていません。堰八(義博)特別顧問や笹原(晶博)会長から新しい視点での経営の舵取りを任されたわけですから、これまでとは異なる発想も手掛けていくという覚悟を持っています。今、苦しくてもやっていかなければならないことはやる覚悟です。スタートがコロナの中ですので、いわばどん底からのスタートです。
――コロナ禍による業績の影響はいかがですか。
兼間 最終的な数字は、当初目標と掲げているところから大きくブレてはいないと思います。この間、相当経費削減、効率化を進めていますので、その効果が大きいと思っています。一方で、与信コストも増加傾向にありますので、決して楽観できるような状況ではありませんが、内部的な効率化を進めながら、与信コストの上昇を抑えています。
――入行されて34年目ですが、ご自身が感じている北海道銀行の良さと、ここは変えなければならないと感じるところはどこでしょう。
兼間 良さは風通しです。本当に心から思いますね。企画担当で長く過ごしてきましたが、若い時から上司はよく意見を聞いてくれました。私も若手の意見をよく聞きたいと思っています。どんどん意見を出す文化は変わっていないですね。変えなければいけないというか、ほくほくFGの一体感醸成にこれまで取り組んできていますので、広域金融グループの一員という意識を高めることでロイヤルティ向上につなげていきたいと考えています。
――道銀の設立経緯も含めて、かなり自由闊達という部分がありますね。
兼間 本当に良い行風だと思っているので、それを変えるつもりは全くありません。堰八さん、笹原さんもそういうお人柄でしたから、それが行内に行き渡っていると思います。