旭川信用金庫・原田直彦理事長インタビュー「旭川物産協会と連携、地域商社機能高める」

金融


 
 ーー地域活性化に関連して地域商社を設立する動きが地域金融機関で出ています。

 原田 今のところ地域商社についての具体的な構想はありませんが、旭川圏の特産物を道外・国外に販売する社団法人旭川物産協会と近く連携協定を締結する予定です。その協定に基づいて市と共同でベトナム向けの販路拡大を進めます。旭川物産協会と地域商社機能を一緒につくり始めようとしている段階です。
 地域活性化に関しては、事業者の雇用問題が依然として大きな課題です。それに対応するため、市や旭川商工会議所、上川総合振興局などとタイアップして「トライアルワーク」、つまり希望者がお試しで働く機会をつくり雇用を促進していく計画を実行します。市でも取り組んでいることなのですが、今回、当金庫や各機関が連携で協議会をつくって進めていくことになりました。4月からスタートする予定です。地元の人たちだけでなく、UIJターンの人たちを対象にします。市でも『はたらく あさひかわ』というホームページを開設していますが、それらを含めて一元的に連携して取り組んで行こうというのがポイントです。

 東京旭川会(旭川に縁のある人々の親睦と郷土旭川への貢献を目指して1977年に設立)などの伝手を頼って、現役や一線を退いて旭川に戻ろうという方たちが気軽に相談できる場として、ワンストップでサービスを提供するのが役割です。そこから「トライアルワーク」というお試しで働くことに繋がっていけば旭川に戻る道筋もつけやすいのではないか。地元以外で働いてきた方たちのアイデアや発想を地元にフィードバックしてもらうことはとても大切。この取り組みは継続的に進めていく考えです。

 ーー札幌圏での営業について今後の展開方針は。

 原田 現在、札幌市内に5店舗あって当金庫の貸出総額の約20%、約600億円を占めており、稼ぎ頭と言っても良い。既存のアパートローンなどもたくさんあって不動産関連業者の取引も多いですから、引き続き応援できる案件は実施していきますが、力を入れているのは事業性評価融資です。新しい融資先の開拓は、士業の方々や取引先からの紹介を中心に進めていますが、これまでは紹介を受けた職員が札幌圏のどこへでも出かけて対応していました。札幌圏は広いので一度や二度、訪問しても紹介先との関係を深耕させることが難しかった。支店ごとに5ブロックに分かれているので、紹介があった際には最寄りの支店で対応しようということにしました。これまで、深耕できなくてお客さまへの助言や支援もできないケースがありました。それでは意味がないので、地道に事業性評価融資での応援をすることが可能な体制を敷きました。

 ーー本店の建て替え予定はありますか。

 原田 外壁のタイルや水回りも補修をしていますが、今年で竣工してから51年目になります。すぐに建て替えることはありませんが計画を練り始めたというところです。

 ーー支店の建て替えなどはどうですか。 

 原田 現在、西支店(旭川市1条2丁目)を建て替えています。西支店は「しあわせ応援プラザ西」という名称にして、ローンプラザなど住宅ローンの相談機能も取り入れて日曜日も営業する相談に特化した店舗にします。また、タブレット端末やテレビ会議システムを使い、新しい相談体制を構築する予定です。7月にオープンしますが、ここを起点に「しあわせ応援プラザ」を少しずつ広げていきます。「しあわせ応援プラザ」で相談機能を高め、融資機能などは地域の母店で対応することで店舗機能の集約を図っていく計画です。
 今後は現状の店舗体制を維持していくのは難しくなってきます。お客さまが望むことは何かを「しわあせ応援プラザ」でしっかり捉えていく考えです。(終わり)

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