IMG_9219 旭川信用金庫の新理事長に就任した原田直彦氏(54)が北海道リアルEconomyのインタビューに応じ新理事長としての抱負や来年の100周年に向けての事業展開などについて語った。原田氏は海外展開について、北洋銀行や北海道銀行と連携して取り組んで行く方針を示したほか、テリトリー制の導入など新しい顧客管理の方法を構築していくことを明らかにした。原田新理事長のインタビュー詳細を3回に分けて掲載する。(写真は原田直彦理事長)
 
 原田氏は1959年1月11日生まれで上川管内当麻町出身。旭川東高から立教大学法学部卒。81年に同金庫入庫、2006年に理事に就任。
「姉2人がいて末っ子の長男なので地元に帰ってくるという気持ちが強かったですね。大学を卒業した81年は就職が厳しく、市役所も採用ゼロ。特に金融を目指していたわけではないが、地元で働くということになればあまり就職口もなかった。たまたま姉がここの職員だったこともあって試験を受けて入った。営業をずっとやってきて支店長を3店経験して本店長になり、今年4月19日の理事会で新理事長に選ばれました。杉山信治前理事長(現会長)から理事会の前日に(理事長就任を)言われた。来年が100周年なので誰もが杉山体制を継続すると思っていた。おそらく会長自身が決められたのもそんなに前ではなかったのではないか」(原田理事長)
 
――理事長就任を言われてときはどんな気持ちでしたか。
 
 原田 正直、あまり考える余裕もなかったので…。
 
――最初に職員の方たちにどんな挨拶をされましたか。
 
 原田 まずは職員が生き生きとした活性化した組織を作ろうと。そういう組織になってお客様の課題を解決して地域の活性化につなげていこうという話をした。我々がもっと変わることによって、お客様の悩みや課題を解決し、お客様が幸せになって我々もやりがいや幸福感を感じるようになる。そういうサイクルが回転して我々のレベルも上がっていき、総体としてそれが地域の盛り上がりになると良いと思っている。
 
――北海道もアベノミクス効果で景気が回復して来ましたが、原田理事長の体感はどうですか。
 
 原田 建設業では人手不足、資材の高騰が顕著に出てきた。仕事量があるので受ける側の価格要求が強くなり人件費が上がってきている。今のイメージだと年度内は仕事が繋がって、年度内を想定していた工事が消化しきれなくて来年度に延びてしまう工事もあるだろう。来年の秋くらいまでは好調が続きそうだ。 
 
 旭川地区では17年ぶりに景況感がプラスになったが、先が保証されている訳ではないのが悩み。公共工事がこういうペースで続くことも考えづらい。農業ではコメもまあまあだが、玉ねぎは小ぶりで2割くらいは少ないかも知れない。
 
――いずれにしても経営環境が良くなるときの理事長就任ですね。預金、貸出しの状況はどうですか。
 
 原田 預金は前年比2・5%くらいのプラス。貸出しはマイナス1・5%くらいのペースだ。今年度の貸出しはマイナス1%くらいの計画で年度末の3月末残は少しプラスに持って行きたい。預金は今のところ増えているが、5年先ころには減少する時代に入っていくのではないか。高齢化の進み具合が激しく人口減少も明確になってきたからだ。お金を持っているのは高齢者が多いが、その方たちが亡くなると、以前ならその子どもたちが地元に残っていたので預金も地元に残った。しかし、今や息子たちは東京や札幌。預金は流れる。
 
――貸出しを伸ばしていくにどんな態勢で臨んでいますか。
 
 原田 ビジネスマッチングなども含めたコンサルティングということでは、金庫内のLANを使った情報ネットワークシステムを活用している。全42ヵ店の取引先の要望を入力して、他の店のお客様に引き合わせるシステムで4年前から始めた。小さなマッチングも含めると年間50~60件くらいの成約はある。仕入れ先の紹介とか売上げ拡大に協力している。
 
 金融以外を含めたすべてのことに我々がどういう関わりができるかということが大切だ。お客様とより密着して課題を理解して納得できる提案を出すことができれば適正な金利の融資に繋がると思う。小口でも良いからそういうことを増やして行こうとしている。どうしても数字だけを追いかけると優良先に低金利で押し付けるという融資が中心になってしまう。
 
 旭川はもともと金利の低いところで“旭川金利”と言う言葉もある。以前ほどではないが北洋銀行も様々な動きをしているが、金利攻勢は競争なので仕方のないレベルだと認識している。ただ、貸出しの実効金利は毎月下がっている。
 (以下、次回に掲載)

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