預金量8500億円を超える旭川信用金庫(本店・旭川市)は、2018年1月に3金庫合併で発足した北海道信用金庫(本店・札幌市中央区)に預金量で抜かれたが、収益力では道内ナンバーワンの地位を保つ。地盤の旭川は、「旭川金利」と呼ばれるほど金利競争が激しい地域だが、新規の実効金利が上昇、貸出金利は下げ止まってきた。今後は事業性評価融資を伸ばし、他の金融機関との差別化を徹底する考え。原田理事長に2020年の営業区域の景況感や引き当て基準の見直しなどを聞いた。
〈はらだ・なおひこ〉1959年1月生まれ、当麻町出身、61歳。旭川東高、立教大学法学部卒。81年4月旭川信用金庫入庫。2006年理事、13年6月理事長就任。

 ーー2019年9月の仮決算概況は。

 原田 貸出金が2%ほど伸び、貸出利息収入も全体は若干のマイナスになっていますが、新規融資の実効金利は下げ止まり金利は落ち着いてきました。本業収入と余資運用も含めて対前年では若干のマイナスですが、計画よりもプラスで推移しています。金融庁の金融検査マニュアルがなくなって引当金について様々な対応ができるようになったので、当金庫も引き当て基準を見直し、引き当てを保守的に積むことにし、計画通りの信用コストを積みました。予想では20年3月期の当期利益は16億5000万円ですが、それを若干下回るところで落ち着くと見ています。

 ーー貸出金が2%伸びた理由は何でしょうか。

 原田 増えたのは不動産関連ですが、不動産企業向けというより一般企業が取り組んでいる不動産事業に対する融資の伸びが中心。当金庫は不動産向け融資を戦略的に進めようという方針は取っていない。数字を上げるためだけのアパートローンなどは止めて内容が良いものだけに絞って取り組むのが不動産向け融資のスタンス。その他にも事業性評価融資(事業性に重点を置いた融資スキーム)がプラスになってきたことも貸し出しが増えた理由です。

 貸出金利回り全体は、前年同期より0・03%下がりましたが新規実効金利は若干プラス。既存の高い金利が償還になってマイナスに働きましたが、下げ幅0・03%というのはここ数年では最も少ない。金利は下げ止まってきたと言えるでしょう。その要因は、課題解決型営業が増え、事業性評価融資でお客さまに喜んでもらえる貸し出しが増えつつあるから。この融資は金利だけの競争にはなりにくい。もっともその融資額は10億円を少し超えた程度で、決してそれが主になっているわけではありません。不動産関連の融資は通常の事業性資金よりも少し金利が高めに設定できます。こうしたことから金利は下げ止まったと分析しています。

 貸出金の金利レートが前年より下がらないことを目標に新規実効レートを設定しています。全体では若干既存のものでマイナスですが、金利競争は落ち着いてきたと認識しています。お客さまは今以上の低金利を求めていません。これまでは金融機関同士がある意味で勝手に金利競争をしていたのが実態ではなかったでしょうか。付加価値を提供した方がお客さまは喜びます。



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