ーー有価証券運用の状況は。
原田 有価証券運用では、外債投資で為替リスクを取らないようにしているのでヘッジコストが利回りより高くなっています。9月仮決算では、有価証券売却益を出すためということではなく多少評価損になったものを整理、良い形で下期や新年度に繋げていこうと対応しました。
金利が下がっているので外債も処分すれば益は出ます。ヘッジコストが高かったですからコストをかけて持っていても利回りとしては下がっていたので少し整理をしました。前期は金利が大幅に上がっていく中で含み損になっていましたが、それらの整理は前期で大体終わりました。問題を残しているものはほぼありません。株も多少持っていますが、個別株の含みが結構な額になっており、それはそのまま持っておくことにしました。
問題は、国債で高く運用していたものの償還が今後3年で増えてくることです。当金庫も保有していますから、償還を迎えて再運用をするにしても同じようにはできません。国債はマイナスですから違うものにしなければならない。これから3年間が市場投資に関しては重要なポイントの期間になります。
ーー有価証券の運用指針はどのようなものですか。
原田 今年度から様々な運用をやろうということで、オルタナティブ投資(農産物、鉱物、不動産など商品、未公開株や先物、オプション、スワップなどの取引)など少しずつリスクを分散しています。収益も上げないといけないので、特に今年度から多く運用していますが、リスクを抑える中で収益が見込めるものはそう簡単にはない。投資が増えなかったということで今年度は終わりそうです。来年度以降も同じ考えで運用しますが、なかなか難しいと思っています。そういうこともあって全体の最終利益が少しずつ減っていくと想定しています。3年後には最終利益10億円くらいで2ケタを何とか維持する水準になるのではないかというのがシミュレーションです。
ーー信用コストについて先ほど引き当て基準を見直したと言われましたが、どのように見直しましたか。
原田 破綻懸念先の中で当金庫の基準を満たした先は、キャッシュフローを超える額を全部引き当てることにしました。当金庫の規模では結構な額になります。今年度の信用コストは前期の引き当てが戻ってきたためマイナスの状態だった。今期は最終的に6億円が信用コストの計画なのでほぼそこに行くでしょう。マイナスからそこに行くまでの額なので結構な額を積んだということです。
ーーリスケジュール先の再生可能と不可能の見極めも必要なのでは。
原田 リスケジュールなど条件緩和しても要注意先で良いというのが以前の金融庁のルールでした。ただ、そうは言っても厳しい先は破綻懸念先にしていました。その中で、破綻懸念先であってもニューマネーを出そうという発想を持って、引き当てを積んで何かあっても追加負担はないという中で応援しようと引き当てを積み増すことにしました。破綻懸念先でも継続的に応援をしている先がいくつもあります。以前の感覚とは違って、引き当てをして応援しようという発想です。一番ポピュラーなやり方で引き当てを見直したということです。
ーー2020年営業区域(上川・空知・石狩・後志・日高)の景況見通しは。
原田 新型コロナウイルスの感染拡大による影響を注視しなければならない。当金庫では新型コロナウイルスに関連した相談窓口を設置しており、引き続き円滑な資金供給を通じて地域金融機関としてお客さまのサポートをきめ細かく進めていきます。