「マルハニチロ農薬混入事件」も話題になった「第4回食品と機械の集い」に180人

経済総合

IMG_0600IMG_0603IMG_0608 恵庭リサーチ・ビジネスパーク(RBP)と一般財団法人さっぽろ産業振興財団、道は28日、札幌市中央区の北海道経済センターで「第4回食品と機械の集い」を開催した。食品メーカーと機械メーカーの橋渡しを通じて道内食産業の底上げを図るのが狙い。ファミリーマート品質管理部の永坂敏男氏がマルハニチロの冷凍食品問題に言及したほか、苫小牧銘菓「よいとまけ」で知られる三星の佐藤巧社長が「よいとまけ」をカットする機械を導入するまでの経緯などについて講演した。道内の食品メーカーなどから約180人が参加した。(写真上段左から、講演する永坂敏男氏、阿部茂氏。写真下段は、初めて行われたマッチング個別商談会)
 
 講演では永坂氏がマルハニチロ子会社の冷凍食品農薬混入事件に触れ、「急げ、作れとハッパを掛ける工場長の下では往々にしてこうした問題が起こりがち。あの工場長は現場にも行かずパートの名前も知らなかったのではないか」と工場の品質管理には社長や工場長が強い関心を持ち、人の命と健康を預かっている意識がないと安全で安心な食品は作れないと強調した。
 
 永坂氏は、「躾、整理、整頓、清掃、清潔の5Sが基本。食品工場のトップが5S方針を徹底しても現場に浸透するまでに最低5年はかかる。しかし、5年で問題の9割を除去すれば残りの1割は品質管理マネジメントシステムのISO9001でカバーできる」と訴えた。
 
 続いて道立総合研究機構食品加工研究センター食品工学部プロセス開発主査の阿部茂氏が「食品機械が創りだす『もっとおいしい北海道』」をテーマに講演。阿部氏は自ら研究している過熱水蒸気を利用した食品加工の例を取り上げて、「水産加工や農産加工に利用が広がり2012年度は約60億円の製造出荷額があった」とし、セブン―イレブンのベンダーであるヤマザキが2年前に稼働させた旭川工場では、ポテトサラダ、カボチャサラダの製造に過熱水蒸気処理が利用され、1日6万パックが全国のセブン―イレブンに供給されている例も紹介した。
 
 阿部氏は、「表面殺菌や配合原料の加熱殺菌の技術も完成した。ソバの表面殺菌用に産地の幌加内で実際に使われ始めており、今後は稲や大豆、小豆などにも実用化が期待される」と述べた。
 
 また、食品メーカーと機械メーカーのタイアップによって課題を克服した事例として三星の佐藤氏が「よいとまけ」の例を発表。手がべたべたして日本一食べにくいお菓子と言われた「よいとまけ」は2005年ころには月産4万本まで落ち込んだ。ロールカステラにハスカップジャムをたっぷりつけているため、食べにくいことが受け入れられなくなったためだ。このため、スライスして小分けした「よいとまけ」を作る必要に迫られ、釧路のニッコーに相談、試行錯誤して超音波で刃を振動させて切るカッターを導入したのが09年。しかし、「1号機は日本一食べづらいお菓子は日本一切りづらいお菓子でもあった」(佐藤氏)。2号機導入は13年11月。斜めにカットすることで1本のロールを綺麗に7切れにカットできるようになった。現在はカットした「よいとまけ」を月産10万本生産しているという。
 
 佐藤氏は、「道内の機械メーカーとタイアップすることで改良・改善がスムーズに進み問題が起きても迅速に対応できるメリットは大きい」と道内の食品メーカーと機械メーカーが連携する効果を訴えた。
 
 講演終了後には、初の取り組みとして食品メーカーが求めているニーズと機械メーカーが持つシーズをマッチングさせる個別商談会も開催され、担当者同士が熱心に話し合う姿が見られた。

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