道経連の近藤龍夫会長(北電相談役)は9日午後、札幌グランドホテルで行われた日本経団連との第61回北海道経済懇談会で「国は国策として食産業を自動車に次ぐ輸出産業に成長させるべきだ」と語った。そのうえで道経連は道庁とともに安倍政権が掲げる国家戦略特区の指定を目指し、「JAPANフードピア」構想を提案していることを紹介、オランダのフードバレーを参考に日本の食産業の強化発展を目指して世界トップの食のナショナル総合センターを北海道に誘致し北海道を拠点に食産業を国際戦略産業に育てて行くべきと訴えた。(写真は「食産業を国策で育成すべき」と語る近藤龍夫道経連会長)
近藤会長は、「アベノミクス」効果で道内の景気指標は上向いていること示したが、北海道は自立的な経済構造を作らなければ持続的経済成長は難しいと主張。「アベノミクス」3本目の矢に北海道は強く関わりを持ち、北海道の自立発展と国の成長戦略実現のために食を国際輸出産業に育成、北海道をその拠点にすることが最も相応しいと説いた。
近藤会長は、「日本の食産業のGDPは13兆円だが、輸送産業のうち自動車だけ見たら8兆円。食産業は成長産業としてのポテンシャルがある。しかし現状はそれが外に向かって出ていない。縮小する国内市場で内向きの消耗戦をやっている。利益率も平均すると4・4%くらいしかない。世界の先進国の食品産業は10%以上あって最も高いところで16%もある。国は国策として食産業を輸出産業の成長戦略に組み込むべきだ」と強調した。
東アジアの食市場は80兆円と言われ10年後には3倍になることが見込まれ、イスラム圏の食市場も手つかずだが60兆円規模。こうした成長する海外市場に積極的に国策として関与していくうえで、北海道がその拠点として相応しいことをアピールした。「韓国もアジアの食市場を狙って国家が500億円の投資をしている。日本も自動車産業に次ぐ輸出産業の位置づけで北海道を拠点に食産業を育成すれば、国全体で現在4500億円の輸出額をやる気になればすぐにでも1兆円は達成できる」と述べた。
近藤会長がモデルにしたいと言うのが、面積が北海道の半分しかないオランダ。食産業を経済成長の牽引役にしてこの10年間で輸出額は70%アップ。生産高10兆円で輸出が8兆円も占め、食品輸出ではアメリカに次ぐ世界第2位。「我々にこれができないはずがない。日本国家として2030年代に食産業をもう一つの成長産業にして、オランダの数字を超えなければならない」と最後まで強気に語っていた。