IMG_9226 安倍政権が日本再興戦略の根幹と位置づけている国家戦略特区指定について北海道が提案していた「JAPANフードピア構想」など3件がいずれも不採用になった。規制改革と新たな仕組みづくりで地域経済を日本の経済成長のエンジン役に結び付けるのが国家戦略特区の目的だが、北海道が提案した3件はいずれも大胆さに見劣りがし、従来の延長線上にある提案とみなされたようだ。(写真は、『JAPANフードピア構想』を提案していた北海道経済連合会近藤龍夫会長)
 
 国家戦略特区は、従来の特区制度とは異なり、国が主体的に関与して国の経済成長に大きなインパクトを与えるプロジェクトを推進することによって「民間投資の喚起によって日本経済を停滞から再生へ」導くのが目的。民間や地方公共団体が提案でき、8月から9月にかけての第一次募集期間には242団体から197件の提案が全国から集まっている。
 
 北海道では、道と北海道経済連合会が共同提案した「JAPANフードピア構想」、道の単独提案による「世界に開かれた観光立国・北海道」、「エネルギー基盤形成」の3件があり、既に9月17日に国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングが終了している。
 
「JAPANフードピア構想」は、オランダのフードバレーを模した特区提案で北海道の食の強みを生かして外国人研究者や労働者の出入国優遇制度や国内外の食関連企業の立地を優遇するなどして食産業育成の基盤を作り成長が著しい東アジアの食市場に向けて輸出を拡大することが狙い。
 
 安倍政権は、成長戦略の一環として“攻めの農林水産業”を掲げる。現在の農林水産業が占める輸出額は約4500億円だが、安倍総理はこれを2020年までに2倍の1兆円にする計画を立てている。道と道経連が共同提案した「JAPANフードピア構想」は、この攻めの農林水産業には力不足と見なされたようだ。
 
 農林水産副大臣の吉川貴盛衆議は、「北海道農業のポテンシャルは高いのだからもっと大胆な考え方での提案が必要だった。例えば酪農関係でニュージーランドは北海道に注目している。ニュージーランドの企業が北海道の酪農家と提携して北海道の魅力ある生乳、乳製品を東アジア、中国に売り込もうとか、そういうことを戦略特区で北海道が提案すれば入っただろう。そうすれば北海道の酪農家ももっとたくさんの牛乳を搾乳することができるようになったかもしれない」と語っている。
 
 国家戦略特区の第一弾は来年1月に全国で5件程度が採用されることになっている。


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