北海道電力(本店・札幌市中央区)は、6月1日(木)から家庭向け電気料金を23・22%値上げする。標準世帯(従量電灯B、30アンペア、使用量230kWh/月)では現行の8391円から1万287円になり、22・6%の値上げになる。値上げについて、北電の藤井裕社長は、「電気は生活や産業の基盤であり、北海道の皆さまへの影響を重く受け止めている。現下の厳しい経済情勢において、一層の負担をおかけすることになり、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます」と話した。(写真は、電気料金値上げを説明する北電・藤井裕社長)

 北電は、他電力と足並みを揃え、今年1月に燃料費高騰などから平均34・87%を申請した。経済産業省は燃料価格低下を踏まえ、2月に値上げ幅を再計算させ、北電は27・85%の値上げ幅で申請していた。北電は、当初の総原価を2023年度から2025年度で、年平均8351億円とみていたが、経産省は7562億円に圧縮できるとした。総原価のうち燃料価格低下を踏まえた減少額は532億円、経産省が経営効率化などでさらに圧縮できるとしたのは、257億円だった。

 総原価が下がったことを受けて、値上げ幅も申請より圧縮されたが、経産省が圧縮できるとした原価は、経営効率化による105億円や修繕費の43億円など。経産省の原価査定について、藤井社長は「北海道は他の電力と融通できる容量が大きくないため、多くの発電所を持たなければならない。つまり予備力を多く持っていなければならず、稼働率と関わってくるため、経産省の経営効率化の査定に影響した。そこが他の電力との大きな違いだが、こういったことが解消できるよう努力していかなければならないと認識している」と述べた。
 
 今回の料金原価には泊原発再稼働を織り込んでいないが、藤井社長は「2026年12月の再稼働に向けて総力を挙げて取り組み、再稼働後には再稼働メリットを反映し適正な水準で値下げを実施したい」とした。
 また、値上げにより約300億円の収支改善となることから、黒字化の見通しについては、「もう一段の改善や機械化、DX化の施策に取り組み、費用を低減して収支への影響を最小化したい。黒字を目指していくのは当然のこと。燃料価格が下げ基調なので、動向を見極めて見通しを示したい」と述べるにとどめた。


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