アインファーマシーズの大谷喜一社長は、札幌証券取引所のIRセミナーで講演し調剤薬局の積極的なM&Aやジェネリック医薬品の取扱い拡大を進めていく考えを明らかにした。とりわけM&Aに関しては、無借金体質から買収案件が最初に持ち込まれてくるケースが多く、M&Aを進めやすい環境にあることを強調、同社の成長の大きな原動力であることを訴えた。(写真は、札幌証券取引所IRセミナーで講演する大谷喜一社長=6月22日)
大谷社長は、同社の医薬事業売上高約1300億円のうち半分が買収によって積み上げられたとし、「調剤薬局の成否は立地によって決まることが多く、今後も病院やクリニックの門前に薬局を展開している同業他社のM&Aに取り組んでいく」と語った。
調剤薬局の競争相手として増えてきているのは、医薬品卸。以前は、調剤薬局専業の同業他社が競争相手だったが、「医薬品卸が堂々と調剤薬局を展開するケースが多くなっている。ライバルは同業他社と医薬品卸だ」と断言、2013年3月期はM&Aと自前出店を含めて医薬事業で66店舗の出店を計画している。
M&Aについて、大谷社長は「大きく分けるとエクスクルーシブ(独占交渉)とビット(買い付け)があるが、ビットで買収をしたことがない。当社の買収基準があって、のれん代を償却しても利益貢献がある企業しか買収しないためビットではその基準を満たすことが出来ないためだ。幸い、当社の無借金体質や事業の積み上げでエクスクルーシブの案件が多く持ち込まれてくる。金融筋や商社などとの信頼関係がM&Aを進めていく財産になっている」とM&Aが成功を続けている原因も提示した。
ジェネリック医薬品については、06年から取扱いを始め07年に「ホールセールスターズ」を設立。「ジェリネック医薬品は、大手の医薬品卸がやらない事業なので自前で調達している。日本のジェネリックの比率は22%程度だが、欧米では5~6割にも及ぶ。日本も必ずそうなる」(大谷社長)と述べ、今後大型医薬品のパテント切れでジェネリック市場の急拡大が見込め成長が期待できるとした。
「ホールセールスターズ」の12年3月期売上高は約80億円で10億円の営業利益が出ていることも示し、「連結営業利益105億円のうち10億円をジェネリックで稼いでいる」(大谷社長)。
アイングループでは14年4月期を最終年度とする「T―2000」計画を実行中。売上高2006億円、経常利益135億8000万円の達成が予定されているが、「利益面では達成可能だが、売上高は現状では1800億円程度に留まりそうなので、M&Aを含めて目標の2000億円に持っていきたい」と語っていた。