2017年は今日で終わることになるが、本サイトは今年も数多くの経済人にインタビューしてきた。トップに立つ人たちから発せられる言葉には、経験から導かれた時代の羅針盤とも言える名言が数多くあった。この1年間で掲載したそれぞれのインタビューの中から2017年の名言を抜粋してみた。
●1月2日
アークス横山清社長が2017年を展望する②「10年レンジで見ると北海道でも行き詰まるところがある」
「今の経済体質から行って10年持たずにリセットしなければならない企業がでてくる。まさしくJR北海道と同じような先送りのツケのような場面が顕在化する。かつて北海道経済連合会会長の戸田一夫さん(故人)が、こんなことを言っていた。『北海道は“でっかいどう”で夢があると言っているが、中央では北海道は“やっかいどう”と言われているんだ』と。実際に冷戦が終わったら北海道の地政学的な役割が薄くなって効率主義が求められるようになった。でも北海道で効率主義が機能する場面は限られている」
「そんなことから私たちは北東北と北海道を統合して経済圏を大きくすることで新たな存立基盤を構築する挑戦をしている。北海道は命名されてから2018年でようやく150年になるが、もう一度、“アンビシャス”をやるべき時期ではいないか」
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●1月10日
コープさっぽろ大見英明理事長「四方良しで事業進める」
「世の中には三方良しという言葉がある。当生協で言えば、組合員に喜んでもらえること、働く職員のモチベーションが上がること、取引先の売り上げ、利益が拡大することが三方良しになると思っている。さらに我々はその上に、北海道に寄与するということを付けて四方良しを目指しながら今後とも事業を進めたい」
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●3月17日
ジャパネットたかた前社長・アパホテル社長・観光カリスマのロス・フィンドレー氏が札幌で大熱弁 「北海道ニューフロンティアセミナー」開催
ニセコ観光の立役者であるオーストラリア出身のロス・フィンドレー氏(NAC=ニセコ・アドベンチャー・センター代表取締役)
「ニセコの価値はパウダースノーと日本という価値だった。しかし、今はニセコで日本人と会うことが少なく、ホテルやレストランスタッフも外国人が多い。日本に来ている感覚がなくなってしまった」
「1泊数十万円のラグジュアリーなホテルが多くなり過ぎている。リゾートにはバックパッカーが泊まる低料金のホテルも必要。誰でも来ることができるようにならないとリゾートとして発展性がない」
「倶知安町とニセコ町の2つのマチで5~10年後のビジョンを作る必要がある。例えば北海道新幹線の倶知安駅をどのように環境と調和させてつくるのかなど声をあげても良い」
「例えばボブスレーコースを作ったり、リゾート全体を行き来できるようにスケート専用道路を作ったりすると世界中から人を呼び込めるのではないか」
アパホテル社長の元谷芙美子氏
「1人のライオン社長がいれば、500人の羊社員もライオンになる。逆のこと(1人の羊社長がいると500人の社員も羊になる)も言える。トップとはそれほど組織に影響を与える」
ジャパネットたかた前社長(AandLive代表取締役)の高田明氏
「どんなに素晴らしい商品でも伝わらないとダメ。最初のころ、私は伝えたつもりになっているだけでなかなか売れなかった。どうしたら理解して伝わるか。世阿弥が花伝書で書いた『我見』と『離見』を常に意識すると良い。我見とは自分たちの目で、離見は他者が見る目。それが揃えば伝わるようになる」
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●4月3日
小樽商大・齋藤一朗教授の「信金教室」③
「北海道の信金は、地場経済という実物経済の中から生まれてきています。問屋や倉庫業などに従事する人たちが開拓を進めていく中で、金融が必要になっていく。しかし地場に金融機関がない、銀行を作るのは大変だから皆でお金を出し合って、信用金庫、当時は市街地信用組合と言いますが、それを作って相互融通を始めていこうというのが発端なのです」
「歴史的に見ると地場経済に根ざし、地場経済の中から生まれてきたのが信金。それが、いつしか自律的な経営体として信金と実物経済の2極が並立する形になっていった。それは歴史の流れなので仕方がないにしても、“魂”は地場経済の中に置いておかなければいけない」
「人間と同じで各々の信金は、自らの出自を知ることがとても大事です。出自を知ることによって何をなすべきかが見えてきます。信金は、今はまさにそういう時代に置かれているのかもしれません」