札幌証券取引所は大阪証券取引所と共同で「札証・JASDAQ北海道フォーラム」を11月12日に開催した。新JASDAQ市場が10月12日にスタートしてちょうど1ヵ月目に札幌で行われた共同フォーラムは、新生JASDAQのお披露目と道内企業の上場を促す意味も込められている。果たして狙い通りの種を播けたのか。

新JASDAQは、大証が運営する新興企業向け市場のJASDAQとヘラクレスが統合した新市場で、上場企業数は約千社、市場の時価総額は約8兆8000億円。この市場の時価総額は東証の新興市場マザーズを上回り、アジアでも最大の新興市場になるという。

この巨大新興市場をPRする目的で行われたフォーラムでは、北海道日本ハムファイターズの藤井純一社長が「地域に根ざした球団経営」と題して1時間講演、その後は1時間45分というこの種の催しとしては異例の長時間を懇親会に充てた。主催者と参加者が気軽に話せる懇親会の時間を多くとって少しでも実のある成果を追求しようというところは、大阪の実利主義が表れている。

道内の参加企業は上場会社が20社、未上場会社は7社だった。未上場の7社とは、「ジーンテクノサイエンス」「北の達人コーポレーション」「正栄プロジェクト」「ハミューレ」「日本資源技術」「クリーンコーポレーション」「北海道ブブ」で、創薬など医薬品事業を行っている会社からビルメンテナンス、輸入中古車販売など様々な業種に及んだ。

新JASDAQは、株式公開を目指す企業にとって魅力度は高いが、札証にもこうした新規公開企業を対象にしたアンビシャス市場がある。例えは悪いが巨象と兎ほどの差があるにしてもアンビシャスは小さくてもキラリと光る市場であることは間違いない。

JASDAQとアンビシャスの提携や連携があっても不思議ではないが、現在は特別な関係を結んでいるわけではない。
フォーラムでは、米田道生・大証社長と伊藤義郎・札証理事長が別個に10分間ずつ挨拶をしたが、それぞれの市場を持ち上げてエールを交換し合った程度で、せっかく共同フォーラムと冠をつけているのに踏み込んだ話はなかった。

札証はJASDAQや東証に上場している企業の札証への重複上場を積極的に進めており、大証とのパイプを太くする必要性は高い。
新生JASDAQの船出を記念する札幌でのイベントだっただけに、札証―大証の連携協定に踏み込めなかったのが残念だ。
(写真は、フォーラムで挨拶する伊藤義郎札証理事長)

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