第3セクターで運営されていた稚内全日空ホテルの債務処理を巡って、地元稚内市でひと騒動起こりそうだ。
同ホテルは、約18億円の負債を抱えていたが、1月末にホテル建物を明治海運に3億円で売却、その3億円は仕入れ代金や従業員の労働債務に充てられ金融債務はそのまま残っていた。
それを処理するために、道内ではじめての3セク債を発行して返済することを決めた。3セク債は、文字通り第3セクターの借り入れに地方公共団体が損失補償を行っている法人の法的整理を行う場合に、必要となる損失補償分を地方公共団体が債券を発行して肩代わり返済できるもの。
稚内全日空ホテルの金融負債は約18億円でそのうち稚内市が損失補償しているのは約17億円。約1億円は市の損失補償がなく、同プラザ社長だった横田耕一市長の個人保証のみだった。
その後、稚内全日空ホテルは特別清算されて3セク債18億円分は市民負担となって後年への付け払いが確定された。
ひと騒動というのは、この3セク債を巡ってのもの。3セク債とは、市が3セクの借り入れに対して損失補償しているものに限られている。稚内全日空ホテルの場合、その市の損失補償額は17億円。残りの1億円については、市が損失補償しているわけではなく、市長であり同ホテルの社長でもあった横田耕一氏が個人で保証しているに過ぎない。
それなのに、市が損失補償しているとして17億円プラス1億円の18億円をまるまる3セク債で充当するものとして議会で議決された。
これに当初から疑義を唱えていたのが、稲垣市議。横田市長とは青年会議所時代からの付き合いで、市長与党的な立場だったが、稚内全日空ホテルを巡る市の資金支援が一方的で経営責任が明確にされていないということで、是々非々の立場で市長批判を強めていた。そこへもってきて、不明朗な3セク債発行。
稲垣市議は3セク債発行に反対したものの議会では多数決で可決されたものの、市民負担に紛れ込まされた横田市長の個人保証分1億円を巡って返還請求を行う見通しだ。市長の個人保証が市の損失補償とみなされるのかどうか、最北のマチで法律論争が巻き起こりそうだ。
(写真は、稚内全日空ホテル)