【動画】ホテル激戦の函館に新規参入、「OMO5函館(おも)by星野リゾート」が提案する新しい観光スタイル

観光

 星野リゾート(本社・長野県北佐久郡軽井沢町)は、2024年7月6日に「OMO5函館(おも)by星野リゾート」(以下、OMO5函館)を開業する。グループ会社が運営していた「ホテルWBF函館 海神の湯」をリノベーションしたもので、客室やパブリックスペース、ダイニングに函館をイメージしたコンテンツを充実、徒歩で近隣の魅力を紹介する「ご近所アクティビティ」の実施や市内ホテルでは初となる、観光地を周遊する無料バスも走らせるなど、新しい観光スタイルを提案する。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、「OMO5函館by星野リゾート」。停車中のバスは無料周遊バス「函館ぐるぐるフリーバス」)
(写真は、縦5m、横3mの函館をモチーフにしたステンドグラスがあるフロント)

 星野リゾートの「OMO」は、街の魅力をホテルスタッフが直接発掘、地域の事業者との関係を深め、宿泊客にそれぞれの土地が持つ歴史的価値や風土の価値を観光資源として提案する、新しいホテル業態。同社は「テンションあがる『街ナカ』ホテル」と定義しており、「OMO」の後ろにある数字は、3がベーシックホテル、5がブティックホテル、7がフルサービスホテルというように分けている。今回、開業する「OMO5函館」によって全国の「OMO」は17施設となる(北海道では「OMO7旭川」、「OMO3札幌すすきの」、「OMO5小樽」に続く4施設目)。

 函館は観光激戦地で、ホテル間の朝食競い合いも激しい。「OMO5函館」では、海鮮、夜景、街並みといった函館観光定番の期待値を上回る「百二十%ハコダテ」をコンセプトに展開する。「百二十%と漢字表記をすることで、お客さまに良い意味の違和感を抱いてもらい、100%を超える満足度を提供していきたい」(中村光一朗総支配人、39)。

(写真は、デラックススルーム)
(写真は、OMOベース)

 客室は、WBFリゾートが運営していた当時は336室あったが、2部屋を1部屋にするなど、大人数での宿泊も可能なように245室に変更。またダイニングは、元々駐車場だった敷地を利用して増築、120席から196席に増やした。客室は、全室靴を脱いで利用するタイプで、デラックスルームには、函館山から眺める夜景が描かれたベッドボードや函館山を登るロープウェーを描いたウォールアート、海色のソファー、函館の街灯りをイメージしたクッション、レンガ調のカーペットと街歩きの続きを味わえるようにしている。函館名物のイカがカーペットに隠れイカのように描かれるなど、遊び心も取り入れている。長期滞在向けの「OMOハウス」には、キッチンや洗濯乾燥機なども備えた。

 2階の「OMOベース」は、カフェ&バルを備えたパブリックスペースで、日中の街歩きの休憩や戻ってきた後のナイトタイムを楽しめる空間。レンガの柱や漁火とステンドグラスの照明など、函館の街並みを感じるレトロな雰囲気を醸し出している。テラスも設け、直径5mほどの円形ファイヤープレイスを囲んで寛ぐこともできる。屋内は437㎡、テラスは293㎡。1階の温泉は、「琥珀色の湯」と名付けられ、鉄分を含んでいる茶褐色の源泉かけ流し。露天風呂は、3つ用意されている。

(写真は、琥珀色の湯の露天風呂)
(写真は、ダイニングのライブキッチン)

 ビュッフェスタイルの朝食を提供する「OMOダイニング」では、五稜郭をイメージしたライブキッチンがあり、カウンター内で仕上げた料理を提供する。酢飯に具材を選んで乗せる「海鮮丼」、海鮮と野菜を焼き上げた「炙り焼き」、旬の魚介類を使った「寿司」、海鮮の旨味を生かした「潮(しお)ラーメン」、茅部郡森町の阿部商店が提案する、マヨネーズと七味で食べる「いかめし」などを用意している。

 はこだて自由市場やベイエリア、元町エリア、五稜郭など観光地を1時間ごとに無料で周遊する「函館ぐるぐるフリーバス」は、市内のホテル業界では初の取り組み。「函館観光の弱点は移動手段が限られていること。観光客のニーズとして最も多い周遊バスを無料で走らせることで、主要な観光スポットに直接アクセスでき、滞在中にすべてのスポットを巡ることができるようになります」(前出・中村総支配人)。また、ホテルスタッフが、ガイドブックには載っていない情報を集めて作成した「ご近所マップ」を2階エレベーター前に掲げている。

「OMO」では、定番になっている「OMOレンジャー」(ホテルスタッフがガイド役を務める)が1時間ではこだて自由市場を案内する「ご近所アクティビティ」も無料で実施する。宿泊者のターゲットは、道内外の観光客やビジネス客で、インバウンド需要も見込む。1室3万1000円から。

 中村総支配人は、「朝食の競い合いが有名な函館ですが、私たちは見習うことは見習いながらも、その競い合いとは違った方向で進化していきたい。ご近所の方々と連携を取りながら、ご近所の良さを伝えて宿泊客に街を好きになっていただくようなホテルを目指していきたい」と話した。また、通年観光の一助となるよう、冬の魅力も発信していく考え。

 施設は、星野リゾート・マネージメント(東京都中央区)が所有、星野リゾートが運営する。従業員数は64人。

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