今年2月1日にオープンした新千歳空港国際線ターミナル直結の高級ホテル「ポルトムインターナショナル北海道」。インバウンドを主なターゲットにしていただけに苦しい船出となったが、最大で1泊100万円の最上級スイートルームには意外にも利用客が多いという。(写真は、新千歳空港国際線ターミナルビルと一体となっている「ポルトムインターナショナル北海道」=右側の高い建物)

 この高級ホテルは、新千歳空港国際線旅客ターミナルビル(1~3階)と一体となっており、ホテル部分は4~8階の延べ床面積約2万㎡で、ホテルへの投資額は160億円だった。国際線ターミナルビルは19年8月30日から供用開始になったが、ホテルは今年2月1日にオープンした。運営は、JR千歳駅前の「千歳ステーションホテル」や新千歳空港国内線ターミナルビルに直結している「エアターミナルホテル」などを運営している新千歳空港ターミナルビルディング(本社・千歳市)の子会社、碧雲堂ホテル&リゾート(千歳市)が担っている。
 
 館内には本格的な数寄屋作りの「茶室」や日本舞踊が鑑賞できる大広間があるほか、伊藤若冲の「伏見人形図」や浮世絵などもロビー、客室、ゲストサロンなど随所に展示されている。客室は、スーペリア(広さ43㎡)108室、ジュニアスイート(同63㎡)52室のほか各種スイート11室の合計171部屋。
 
 インバウンドを主な顧客と見込んでいたが、コロナ禍によって目算は大きく狂った。国際線の利用は、2月は22万人と前年からほぼ半減、3月以降、現在まで国際線は全路線が休止状態。そんな中で、意外にも健闘しているのが、最上級スイートの「数寄屋スイート」(広さ250㎡)。参考価格は100万円(消費税、サービス料、入湯税込み)が提示されているが、シーズンやプランによって変動するため実勢価格はそれよりも下回るとみられる。関係者によると、「IT関係や馬主関係などの国内利用客がいるようだ。中には何泊もする人もいる」という。
 国際線の復活の兆しは見えておらず、ホテル稼働率の上昇も見通せないが、「1泊100万円」の部屋の需要が意外にも底堅いことは一筋の光明と言えそうだ。



26人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。