新型コロナウイルスの影響で北海道の航空客が激減している中、地方空港ビルのテナント撤退が進んでいる。函館空港ビルや旭川空港ビルでは看板となる店舗も閉店するなど影響は深刻だ。ただ、新千歳空港ターミナルビルのテナントは休業店舗があるものの撤退はゼロ。コロナ禍は地方の影響がより深刻だ。(写真は、旭川空港ビル)

 函館空港ビルや旭川空港ビル、新千歳空港ターミナルビルディングなど道内7空港の空港ビルは、今年1月から一括民営化事業会社、北海道エアポート(本社・千歳市)の子会社になっている。各空港ビルは今年2月以降、新型コロナの影響でインバウンドや国内航空客が激減した影響を受け、各テナントも苦境に立たされ臨時休業を余儀なくされている。

 そんな中で、函館空港ビルでは、空港ビルがスタートした1970年の翌71年9月から入居していた「棒二森屋函館空港店」が6月30日で閉店した。19年1月に函館駅前のデパート「棒二森屋」が閉店、その名を冠した唯一の店舗だったが、運営するイオングループの中合(本社・福島県福島市)は、コロナ禍で49年間の営業を断念せざるを得なかった。また、15年7月にオープンした「サツドラ函館空港店」も6月30日で5年間の営業を終了した。

 旭川空港ビルでは、16年7月に入居した「サツドラ旭川空港店」が3月22日に閉店したほか、国際線ターミナルビル完成後に入居した農水産物販売のまるとみが5月31日に閉店している。

 他の空港ビルでも臨時休業中の飲食店や土産店などは多いが、北海道エアポート傘下の7空港ビルで最大規模の新千歳空港ターミナルビルに入居している約200のテナントは、現在のところ撤退しておらず、地方空港のダメージはより深刻と言えそう。
 新千歳空港の6月利用客は前年同月比20%強で、徐々に増えつつある状況。他の6空港も最悪期は脱しつつあるが、テナント撤退後のスペースを埋めるには長い期間が必要になりそうだ。


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