公益社団法人北海道観光振興機構は16日、札幌パークホテルで平成26年度通常総会を開催したが、冒頭の会長挨拶で星野尚夫会長が次期会長人事を巡る混乱に言及する場面があった。星野氏は急死した坂本眞一前会長の後を受けて今年2月に会長に就任したが、それ以降、次期会長を巡り機構内部で不協和音が噴出、沈黙を保ち続けた星野会長は総会の席上で自らの思いを粛々と語った。(写真左は星野会長、写真右は山谷副知事)
星野会長は集まった会員など関係者約250人を前に、「会長人事でご心配をおかけしたことをお詫びします」と述べたうえで、「まるで会長人事で争っているかのような報道記事が続いたが私の考えは一貫している。それは、総会で決まった理事の中から総会後の理事会で選出・決定するということ。多くの社団や財団がそうだし、このルールに則って会長を決めるということを一貫して主張してきた」と語った。
生前、坂本前会長は機構の組織がまとまって行くことが大事だと語っていたことを引合いに出しながら、「組織運営検討会議や理事会の席で突然多数決によってあたかも新会長が決まったような印象があった」とし、暗にルール違反であったことを指摘した。
星野会長は、「総会では再任も含めて40人の新理事が決まるが、総会後の理事会で新しい会長を選んで一日も早く一致団結して観光振興に取り組むことを願っている」と訴えた。また、星野氏自身のことについても「一理事として(新会長の下)観光振興に努力したい」とした。
総会の日まで沈黙を通し続けた星野会長の異例の発言に、会場からひときわ大きな拍手が湧き上がっていた。
また、来賓として出席した山谷吉宏副知事は、6年前に設立された機構は道の観光の一翼を担うべく行政と一体となって取り組む組織だとして、「一体になるのは言うは易しだが、企業同士が最前線で競っており実際は難しい」と述べ、「これまでの機構運営には苦心と苦労があったと思う。今後は北海道の進むべき道に力を合わせて行くことを切にお願いしたい」と最後の場面では一段と語気を強めた。
山谷副知事は、機構の次期会長を巡る混乱の発火点になったとされ、明確な大義名分を欠いた星野会長降ろしにも関わったとされている。「星野会長には心から感謝します」と締めくくった山谷副知事だったが、星野会長の明瞭な顛末報告と比較して曖昧さの残る言い分だった。