「イトーヨーカドー帯広店」きょう最終営業日、鳩マークが消える「終わりの始まり」

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 イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)が展開する「イトーヨーカドー帯広店」(帯広市稲田町南8線10-1)が、きょう2024年6月30日で閉店する。現店舗で営業を開始してから25年間、帯広進出から数えると49年間の営業を終える。(写真は、きょうが最終営業日の「イトーヨーカドー帯広店」)

「イトーヨーカドー」の北海道進出は、1975年オープンの「帯広店」が最初だった。帯広駅近くにオープンした店舗は、その後の全道展開の始まりだった。1998年に現在の稲田町に移転、帯広の郊外型商業施設のはしりのような存在になった。それから20数年、イトーヨーカ堂の持ち株会社であるセブン&アイ・ホールディングス(本社・東京都千代田区)は、事業構造改革の一環として、2023年9月、道内6店舗になっていた「イトーヨーカドー」のうち、「帯広店」を2024年6月末に閉店することを決めた。さらに、今年2月になって残り5店舗の閉店も決め、2024年度中に北海道から店舗撤退することを決めた。

「帯広店」は、「イトーヨーカドー」にとって、道内多店舗展開の「始まりの始まり」だったが、今回は閉店に向けた「終わりの始まり」のポジションを持つことになった。総合スーパー(GMS)の生活密着感は色あせているものの、「帯広店」が、地域の消費に貢献してきた歴史は、市民の間に深く刻まれている。

 経験を積んだ流通関係者の間で、「イトーヨーカドー」の存在はある意味で別格だった。道内スーパー関係者の多くが、「イトーヨーカドー」をベンチマークにしていたこともあった。「鳩」のマークは、道内流通業界の繁栄をもたらしてきた、平和の象徴でもあった。そんな「鳩」のマークが消えることは、業界の先行きを暗示しているようにも見える。「鳩」なき先の道内流通業界は、安定か混沌か。「帯広店」閉店から行き先の見えない歩みが始まる。

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