「キテネ食品館」中塚誠代表取締役インタビュー、「月寒店出店の狙い、大手スーパーとの戦い方」

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 JR手稲駅の駅前にある地域密着スーパー「キテネ食品館」が、2024年7月12日に、2号店となる「月寒店」(札幌市豊平区月寒東3条4丁目2-6)を出店する。東北通り沿いにあった「スーパーエース月寒サンウェル店」の店舗跡に居抜きリニューアル出店するものだが、手稲の人気店が月寒に来ると、SNSでも盛り上がっている。「キテネ食品館」の魅力と「月寒店」出店の狙いについて、中塚誠代表取締役(49)に聞いた。《なかつか・まこと》…1974年9月生まれ、札幌市出身。手稲の高校卒業後にスハラ食品入社。3年で退社した後、26年前に松井ストア入社。2年で店長に就任、10年前に分社化して設立されたキテネ食品館代表取締役に就任。

 ーー「キネテ食品館」はSNSでの人気も高く、良い品物が安いと評判です。

 中塚 「キテネ食品館」は、青果、鮮魚と惣菜、精肉、食料品全般という4つの法人格を持つ会社が集まってスーパーマーケットを構成し、大家から店舗を借りて運営するシステムです。大手スーパーのように、一つの企業が店舗を運営するスタイルとは違います。各部門のプロフェッショナルが集まって売り場を展開しているので、それぞれの部門が競い合ってお客さまを呼び込もうと、オペレーションを工夫しますから、面白いことができるスーパーだと自負しています。
 SNSの広がりによって市内はもちろん、市外のお客さま、さらには、関東から出張で来られた方々も来店してくれます。SNSによって、多くの人に知っていただけるようになりました。

 ーー「月寒店」の出店の狙いは。

 中塚 「キテネ食品館」は現在、手稲で1店舗の展開です。店舗が入っている建物は、築年数が経っていて、いずれは大規模改修も想定されます。そうなると、店舗を長期間休まなければなりません。1店舗だけでは休業のダメージも大きいので、そのリスクを分散する目的で、2店舗目を出店する必要がありました。
 もう一つの理由は、SNSによって皆さまからの支持をいただき、年末などはものすごい数のお客さまに来ていただけるようになり、キャパオーバーになってきたことです。お客さまが店舗に入りきれず、行列をつくって、順番待ちをしてもらわなければならないこともあります。この2つの理由から、2店舗目の立地を考えた時、手稲と商圏が重ならない地域ということで月寒を選びました。

「スーパーエース月寒サンウェル店」の店舗跡への居抜き出店ですが、「スーパーエース」の仕入れ先が、当店と同じ全日本食品(本社・東京都足立区)だったため、大家の松井ストアに出店の提案があったこともきっかけになりました。「キテネ食品館」を構成する法人の代表者同士で、出店について話し合ったところ、鮮魚と青果と食料品の3法人が出店するということになって、「キテネ食品館月寒店」が実現することになりました。

 ーー手稲と月寒では、スーパーマーケットの競争環境が違います。

 中塚 「キテネ食品館手稲店」の周辺には、「ラルズ」や「マックスバリュ」、「コープさっぽろ」の店舗がありませんし、「ラッキー」もありません。しかし、「産直生鮮市場」や「西友」、「ザ・ビッグ」、「現金問屋」、「トライアル」など、ディスカウントスーパーが軒を連ね、安売り激戦の地域です。手稲である程度戦っているので、ディスカウント店舗の少ない月寒地区では、十分に戦うことができると思っています。
 ただ、今秋に閉店する「イトーヨーカドー福住店」の後継に、ディスカウントの「ロピア」が進出してきますから、地域にどんな影響が出てくるのか見極めなければなりません。私たちは、手稲でいろいろなスーパーとぶつかり合いをしているので、隙間や合間を縫うことには経験があります。「月寒店」でも、小さな所帯の良さを生かしていきます。

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