「BtoBプラットフォーム」のインフォマート、札幌営業所開設

経済総合

 企業のバックオフィス業務をデジタル化する「BtoBプラットフォーム」事業を展開しているインフォマート(本社・東京都港区、東京証券取引所プライム上場)が、2024年3月15日に札幌営業所を開設した。大阪、福岡に次ぐ3ヵ所目の営業拠点で、飲食業や食品卸業、宿泊業をはじめとしたフード業界向けサービスを深掘りするほか、企業間商取引のDXプラットフォーム「BtoBプラットフォームTRADE」の新規開拓を強化する。札幌営業所を通じて、道内企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)をサポートしていく考えだ。(写真は、インフォマート札幌営業所開所式。左から中島健社長、札幌営業所長を兼務する杉山大介フード事業上席執行役員)

 インフォマートは、1998年の創業から飲食業・宿泊業や食材卸業などフード業界の受発注業務、納品書のデジタル化、請求書や契約書など帳票のデジタル化に取り組んできた。フード業界では、取引関係にある企業同士が、電話やファクス、LINEなどで日常的にさまざまな受発注業務や請求業務を行っている。それをインターネットで行うEDI(電子データ交換)の「BtoBプラットフォーム」を提供しているのが同社。
 
 この市場で、インフォマートは先駆的な企業として高いシェアを有している。企業間取引のデジタル化は、紙の削減など作業効率改善や環境負荷低減にも大きな効果があるものの、実際には進んでいないのが実状。同社の中島健社長は、「個人ではアマゾンなど通販やデリバリーでネットをよく利用するが、企業と企業のやり取りは、今でも約90%が電話やファクスで行われている。企業は、売り上げを増やすことが最優先なので、請求書などのデジタル化による効果は分かっていても先送りになってしまうケースが多い。当社の強みは、システムの使いやすさにもあるが、それぞれの企業の実情に合わせたコンサルティング的な導入支援と、導入効果を最大化するサポートにある」と話す。

 フード業界向けでは、個人飲食店や卸企業間のデジタル化を進めるためにタノム(本社・東京都渋谷区)を2024年3月に連結子会社化、タノムが提供していた受発注・販促サービス「TANOMU」を自社戦列に加えることで、フード業界のデジタル化への変革を一層加速させることにした。

 こうした中で開設した札幌営業所は、道内のフード業界ユーザーにきめ細かなサポートを行うとともに、見積もり・発注・納品・請求の業務プロセスをデジタル化する「TRADE」を建設業界向けに浸透させていく拠点として機能させる。前出の中島社長は、「道内でもお客さまが増え、当社の提供サービスも増えており、今まで以上にお客さまに満足していただく努力が必要になっている。札幌営業所開設によって、より身近な存在になり地域密着を進めたい」と言う。

 道内では、インバウンドの回復で観光関連が盛り上がっているが、現場は人手不足もあって旺盛な需要を取り込めていない例がある。コロナ禍で大箱をダウンサイジング、高価格帯のホテルにしたところもあるが、並行して食材調達など業務の効率化が進んでいないこともあって、利益率向上に結びついていないホテルもあるという。こうした課題に向けて、ソリューション提案をしていくことも札幌営業所の大きな役割になっている。

 札幌営業所長を兼務する杉山大介フード事業上席執行役員は、「全国的に業務のDX、IT推進が熱を帯びているが、現状は、まだまだ浸透していない。取り組もうと思っても、どこから始めれば良いのか、どのタイミングが良いのかなど、踏み切れない企業は実際に多い。当社は、“つないで結ぶ”をコンセプトにしており、システムの導入から運用まで、しっかりとサポートしていきたい」と話している。インフォマートの2023年12月期の売上高は、133億6300万円(前期比21・4%増)だった。北海道の売り上げは、そのうちの約5%だが、札幌営業所開設によって、数年後には10%に引き上げたい意向。

 中島社長は、「北海道はラピダスやGX(グリーントランスフォーメーション)など、経済のポテンシャルが非常に高い。今後、日本を変える中心になっていくのではないか」と北海道への期待感を示す。「北海道ラグビー100周年記念事業」の冠スポンサーにも就くなど、地域振興にも注力していくことにしている。
■札幌営業所 〒060-0042 札幌市中央区大通西5丁目8、昭和ビル東館6階 

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