キャスターの佐藤のりゆきさん(73)が、アナウンサー・キャスターの現役生活50年を迎えた。正確には昨年が50年だったが、「知事選に出馬した時は1年間お休みしたので、今年が本当の50年」と佐藤さん。偉ぶらず、いつでも等身大の佐藤さんだからこそ続いた半世紀かもしれない。(写真は、現役生活50年を迎えた佐藤のりゆきさん)
佐藤さんは、旭川市生まれ。1968年に札幌北高校を卒業し、1972年に北海学園大学法学部法律学科を卒業して、同年HBCにアナウンサーとして入社した。札幌北高では、放送部に所属して番組制作に関わっていたが、北高放送部OBにはアナウンサーが多いこともあって、北海学園大在学中に東京アナウンスアカデミーに通った。「当時は、大学紛争の時期だったので学校に行ってもほとんど授業がなかった。その合間を縫って、東京でアナウンサーの勉強をして、標準語を徹底的にマスターした」(佐藤さん)。
全国の放送局を受験をしたが、採用通知が最も早かったのがHBCだったため入社。テレビやラジオのワイドショー、スポーツ実況などを続け、1993年にHBCアナウンス部副部長に昇格、管理職になった。しかし、現役のアナウンサー、キャスターを続けたかった佐藤さんは、「悶々として一番辛かった半年間」を経て退社、独立。当時の上司からは、「HBCの看板がないと何もできないぞ」と、宴席でおちょこを投げつけられたこともあったという。
独立後には、各局から声が掛かり、ライバル局で当時放映していたワイドショーのキャスター起用の話もあったが、「辞めてすぐに他局で放映中の仕事をするのは、忍びなかった」と断り、UHBで新たにスタートする『のりゆきのトークDE北海道』のメインキャスターになった。以降、18年間にわたって約4300回の放送に携わり、生の電話で話した道民は2万人以上に上った。
その番組を通じて、「北海道を少しでも良くしたい」という思いが強まり、2015年に知事選に出馬。4選目の高橋はるみ知事と互角に戦い、114万6000票を獲得したが敗れた。「政治家になりたかったのではなく、北海道を良くしたいという思いで出馬した。その思いは今も同じ」と言う。
トークDE北海道のキャスターを始めて5年目頃には、東京から出演のオファーがあった。本人も心が動いたそうだが、尊敬していた当時のUHB社長から「行かないでくれ」と懇願され、「北海道の佐藤のりゆきとして、骨を埋める覚悟を決めた」(佐藤さん)。番組を通じて、道民と悩みや苦しみを共有していることを実感、「道民の代弁者になれているなと感じた時、『ああ、現場でこの仕事を続け良かった』と確信した」(同)と話す。
佐藤さんは、2021年5月からシニア層をターゲットにしたUHBの『のりゆきのトークDEお悩み解決』のキャスターを務めてきたが、そのリニューアル番組として4月28日から始まる『談談のりさん』(毎月最終金曜日13時50分~14時20分)のキャスターを務める。この番組は、佐藤さんが著名人と対談して、シニアが生きるヒントを伝えるもので、初回は三國清三シェフ。
佐藤さんは50年を振り返るとともに、前を見て歩き続けることに意欲を燃やしている。「話すということは、解放の放すことにつながります。これからも北海道の皆さんが、さまさざまな悩みから解放されるよう語りかけ、話し合い、心豊かな人生を送るヒントを伝えたい」と話している。