リラィアブル・佐藤暁哉社長インタビュー「北海道を基盤に『コーチャンフォー』関東3店体制を構築したい」

流通

 本、音楽、文具、飲食の全国最大規模の複合店「コーチャンフォー」を展開するリラィアブル(本社・釧路市)。コロナ禍で行動規制によるステイホーム需要を取り込んで、業績は堅調だ。食物販の「コーチャンフォーマルシェ」も、北海道にこだわったオリジナル商品の開発を進めるなど、新たな事業に成長しつつある。今年10月をめどに、「コーチャンフォー」関東2号店の出店も具体化している。佐藤暁哉社長(44)に、2022年3月期の見通しと今後の成長戦略について聞いた。〈さとう・ときや〉1978年1月生まれ、釧路市出身。2001年青山学院大学卒業、その後海外留学、一般企業を経て2007年リラィアブル入社。2013年取締役、2016年常務取締役、2018年代表取締役社長就任。

 ーーコロナ禍の業績への影響は。

 佐藤 2021年3月期決算は、その前の期比で12・6%増、約157億円の売り上げがありました。学校の休校があったり、ステイホームの増加によって本を読む人が増えたりしたことの影響や、コミックの『鬼滅の刃』ブームもプラス効果がありました。活字離れやデジタルシフトと言われますが、漫画や小説を読む人が多いという実感を持ちました。文房具関連でもジクソーパズルが売れましたし、クロスワードパズルの本なども売れ行きが良かったです。また、一昨年はマスクが手に入りにくかったので、手拭いでマスクを作る方も多く、手拭いもよく動きました。
 一方で、かばんや名刺入れ、高級万年筆などは鈍かった。これらは、ギフト需要なので、人に会って贈り物をすることができなかったためでしょう。コロナ禍1年目は、売れるものが非常に変わりましたが、2021年度に入って、少しずつ日常生活が戻ってきている印象です。2022年3月期は、反動減の影響で前期よりも売り上げは減少していますが、それでもコロナ前の2020年3月期比で5%増で推移しています。

 ーーCD、DVD関係の売れ行きはいかがですか。

 佐藤 音楽関係は苦戦しています。「嵐」が活動休止して以降、「嵐」のDVDは何作品か出て、それはそれで非常に売れましたし、K-popグループの「BTS」も売れていますが、コロナ禍で映画制作やコンサートが激減、これらに関連するDVDが大きく減りました。『鬼滅の刃』などがDVD化されると目的買いの人も多くて良く売れますが、週末に時間があるから、映画を観ようかという人などは、動画配信サービスに移行しているようです。

 ーー飲食関係はどうですか。

 佐藤 FC(フランチャイズ)展開している「ミスタードーナツ」は順調です。元々、テイクアウト需要が多いので、コロナ禍でも伸びています。新商品も人気で、「ポケットモンスター」とコラボしたドーナツはクリスマスに販売しましたが、売れ行きが良かった。今は、ベルギー王室御用達チョコレートブランドの「ヴィタメール」とのコラボドーナツが、バレンタインに向けて好調です。「ミスタードーナツ」は、「コーチャンフォー」の店内などに5店舗、「ドトールコーヒーショップ」も「コーチャンフォー」に3店舗入っています。

 ーー「コーチャンフォー」などの店舗数は。

 佐藤 「コーチャンフォー」は、北海道6店舗、関東1店舗で、「リラィアブルブックス」が道内3店舗の合計10店舗体制です。今年10月、関東に「コーチャンフォー」2号店をオープンさせる予定です。既に土地を取得しており、関東1号店の「若葉台店」(東京都稲城市)と同じくらいの店舗規模になります。

 ーー関東2号店出店の狙いは。

 佐藤 当社は、ほぼ3年ごとに1店舗を出店してきました。しかし、「若葉台店」を出してから、7年が経過しています。東京五輪があって土地や建築コストが高騰していますが、関東地区で人口増加エリアなど条件的に合う場所をリサーチしてきました。当初から、五輪後に具体化させようと考えていたので、計画通りです。「若葉台店」の売り上げは着実に伸びていて、関東の消費者にも「コーチャンフォー」の認知度が、徐々に広がっています。2号店の後は、あまり期間を置かずに3号店を出店したい。まだ、どうなるか分かりませんが、「若葉台店」は東京の多摩地区にあるので、2号店と3号店で三角形になるように店舗立地を考えたい。

 ーー2号店の投資額は。

 佐藤 建築コストが上がっているので、何とも言えません。「コーチャンフォー」は、最低でも4000坪の敷地が必要で、「新川通り店」は約6000坪もありますので、投資額は数十億円規模になりそうです。自己資金と金融機関からの借り入れで対応します。

 ーー関東市場は競争が激しいですが、差別化戦略は。

 佐藤 「コーチャンフォー」の強みは、圧倒的な広さです。駐車場も広く、品揃えと在庫量も豊富。『鬼滅の刃』が流行っている時に、「コーチャンフォーに行けば必ず買える」という安心感があったと思います。『呪術廻戦』もそうですが、北海道の中では、こうしたことがある程度知られていますが、今後、そういった認知度を関東でどれだけ広められるかだと思います。
 商品調達力や在庫力以外に、リアル店舗の強みとして接客力、サービス力が挙げられます。在庫量ということだけなら、とてもアマゾンには勝てませんが、リアル店舗はその場で買って帰ることができる利便性があります。また、店舗従業員がお客さまのニーズに応えて、きめ細かく接客できます。一昨年から、当社では接客コンクールを実施しています。新入社員、若手社員を中心にマネージャークラスが全店舗を回って接客対応を調べて表彰しており、スキルアップに結び付いています。また、ラッピングの無料サービスも、シーズンに応じて柄を変えて対応しており、差別化に繋がっていると思います。

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