(写真は、「コーチャンフォー新川通り店」と同店内の児童書コーナー)

 ーーところで、札幌中心部への店舗展開は、考えていますか。

 佐藤 本は利益率が低いので、立地の良い土地を取得できるのかという問題が出てきます。また、土地を借りるにしても、割高な家賃負担が出てきます。私たちとしても、中心部に店舗があればという気持ちもありますが、「コーチャンフォー」は大型店のイメージが強く、中途半端な面積で出店できないと考えています。

 ーー今後、3~5年の売り上げ計画は。

佐藤 関東に2号店を出店し、さらにもう1店舗出店すると、年商200億円が見えてきます。そこに到達できれば、従業員数や教育体制もしっかりとしてくるので、その後は安定的に店舗を増やしていきたい。リアル店舗を増やしながら、デジタルとの融合も考えていかなければならない。現在のネット販売比率は、売り上げの1%にも満たないのですが、広げる余地はあるとみています。
 しかし、同じ本でも、アマゾンで購入するなら送料無料ですが、当社では送料がかかります。アイドルグループ「乃木坂46」の写真集が出たら、「コーチャンフォー」では特別な絵柄の表紙を採用するなど特典が付いたりすると、送料がかかっても買いたいというファンは多いと思います。北海道出身の漫画家とコラボして特別に漫画を一枚差し込んでもらうなど、当社としての付加価値を付けていく努力をしたい。

 ーーお聞きするのもおかしいですが、本はよく読まれますか。

 佐藤 職業柄、積極的に本を読むようにしています。毎年約200冊の本を読んでいますが、実際に何冊読んでいるか確認しようと、今年1月1日から読んだ本とページ数を記録するようにしました。きょう現在(1月21日)で、14冊を読み終えました。このペースだと年間240冊読むことができます。
 本のジャンルは問いませんが、今年から読み始めたのは東野圭吾さんの本です。その理由は、2022年度の新入社員たちが一番読んでいる本として挙げたのが、彼の作品だったからです。なかなかタイミングが合わず東野作品は数冊程度しか読んでいませんでした。調べると90冊以上あるようなので、新入社員と同じ読書体験をしようと昨年10月から読破中で今は50冊以上読みました。入社式では、全部読んだことを報告するつもりです。
 読書時間は就寝前に必ず1時間から1時間半くらいと決めていますし、休日には2時間から3時間くらいの時間を取っています。札幌との往復の時間などにも読書をしています。40歳になった時、これまでに何冊読んだかを概算したら、約3000冊でした。75歳までに1万冊を読もうと考え、最低でも年間200冊を読むことに決めています。

 ーー一番、心に残った本は何ですか。

 佐藤 一番感動した本は、辻村深月さんの『かがみの孤城』、2018年に本屋大賞を受賞した作品です。読んだ時にものすごく感動して、「これは、絶対に本屋大賞を取る」と発売された時に思い、出版社経由で辻村さんに、「この作品は絶対に本屋大賞を受賞するので、受賞したら釧路でサイン会をお願いしたい」と手紙を書きました。そうしたら、出版社経由でお返事をいただき、「受賞したらぜひお願いします」と。その願いが実現して、それ以降も何度かサイン会に来たいただいています。その次に心に残ったのは、東野さんの『白夜行』。また、太宗の言行録『貞観政要』は、いろいろな気付きを与えてくれるので定期的に読んでいます。

 ーー座右の銘は。

 佐藤 「人間万事塞翁が馬」です。良いことも悪いこともありますが、引きずられないようにしようと思っています。コロナ禍は本当にいろいろな気付きを与えてくれました。これをチャンスと捉えなければいけないし、何事にも真剣に取り組まないと淘汰されてしまいます。

 ーー若手経営者との繋がりも強いようですね。

 佐藤 北海道の若手経営者たちは、ちょうど代替わりが終わった時期で、30代後半から40代前半の経営者が多い。私は、「北海道経営未来塾」の1期生で、今でも定期的に情報交換をして切磋琢磨しています。「北海道経営未来塾」は長内順一塾長(元ニトリ特別顧問)の発案により生まれたものですが、若手経営者にとって大きな財産になっていると思います。

 ーーありがとうございました。



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