「北方ジャーナル」2021年11月号が15日、店頭に並んだ。今月のトップは、これまで報じてきた北空知の医療を担う重要拠点、深川市立病院(開設者・山下貴史市長)の“内部告発者潰し”の続報だ。診療放射線科幹部と出入り業者との癒着を告発した同科の技師が事務部局へ異動を命じられた問題にからみ、今年3月の市議会で暴露された生々しい会話記録。それは野球観戦チケット供与を求める同科幹部と、それに対応する業者による院内での密談だった。以後、4カ月にわたりこの問題を調査していた深川市はどのような結論を出そうとしているのか。本誌は、8月下旬に市の内部調査報告書を独自に入手した。そこで裏付けられた病院幹部による「チケットねだり」の実態を報告する。(画像は、北方ジャーナル11月号の表紙)
道内最大マスコミ、北海道新聞の内部危機を追った報道第4弾「この声を聴け――」にも注目だ。まさかこんなに尾を引くとは思ってなかったんじゃないか――。現役記者の1人は、上層部の認識の甘さを指摘する。本年8月号から報告を続けている北海道新聞の新人記者逮捕問題は、否、それを受けた同社の一連の対応は、道内最大の報道機関が抱える病巣をあぶり出した。幹部職員らと現場との間の溝が埋まる兆しはなく、漏れ伝わる不信の声は今も絶えない。耳を塞ぐ幹部の足下で、その声は静かに拡がり続けている。
「野次は違法ですか、適法ですか」「お答えしません」…。裁判所の傍聴席ではざわつきがやまず、証言台の警察官は歴史的な名言をいくつも記録に残すことになる。法廷に持ち込まれた首相演説野次排除事件は本年9月上旬、1つの節目を迎えた。年度内にも一審判決に到るその訴訟では、被告の北海道警察が排除の適正性を示す立証責任を負うことになっている。実際にそれを果たすことができたかどうかは、読者諸氏に評価いただきたい。
「脱炭素」の掛け声一色になっている昨今の風潮に一石を投じる本誌の「再生可能エネルギーを問い直す」シリーズ。再エネの中で風力発電に焦点を当て、低周波・超低周波音による健康被害などを探ってきたシリーズの最終回は、「日本科学者会議北海道支部」の会員で風力発電問題研究会の高畑滋さんのインタビューで締めくくる。高畑さんは「自然エネルギーは活用すべき」とした上で、「それぞれの地域で自前のエネルギーをまかなうのが理想」とし、風力やソーラー発電がメガ化して自然や健康を損なうことに警鐘を鳴らす。近年、しきりに国が旗振りをする再エネについて、我々はいま一度よく考えるべきではないか。
道内の医療関係者が高い関心を寄せる、道立看護学院の教員らによるパワーハラスメント問題を追う調査報道。被害告発から1年以上、第三者調査開始からは半年が過ぎた道立高等看護学院のパワハラ問題。現地ではついに後期授業が始まり、学院の方向性が定まらない中で保護者たちには授業料の納付通知が届いた。途惑う現役学生らへのケアは後手に回り、ハラスメント関与職員の処分はなお遠い。さらには加害の中心人物とされる副学院長が入学希望者の相談対応にあたっていた事実が発覚するなど、告発2年めの秋は波乱含みの様相だ。
このほか国内の大手メディアがあまり報じない中国・新疆ウイグル自治区におけるジェノサイド問題も要注目だ。今月は、現在人権活動家として中国共産党の犯罪を告発し続けている日本ウイグル連盟会長、トゥール・ムハメット氏の緊急寄稿、第3弾をお届けする。テーマは、ウイグル族に対する人口抑制政策の中で避妊を強制される女性、そして中国共産党により洗脳教育が進められている子どもたちだ。日本は、いつまでこの問題に及び腰を続けるのか。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル11月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。
※11月号主要コンテンツ
【報道】
■「裏付けられた密談」──市の調査報告書で確定した深川市立病院幹部の「チケット要求」
■地元紙・80年めの迷走〈4〉─道新問題で内部の不信増大中。「懇談会」記事は直前差し換え
■告発・絶望の学府〈7〉─江差看護パワハラ、出口どこに。加害疑い教員が相談対応の無法
■首相批判封殺の波紋〈20〉─野次訴訟で証人尋問 2日間。立証責任負う警官 法的根拠語らず
■再エネを問い直す【最終回】─風力発電問題研究会の高畑滋さんに訊く。メガ化した再エネの誤謬
■「北大総長解任取り消し訴訟」の名和豊春氏が心境を独白「静かに燃やす北大への闘志」
■狩人、銃を奪われる〈5〉ヒグマ駆除、責任は誰に。警官や市職員など尋問
■“核のゴミ”レポートPART25─「地層処分の事業主体・NUMOに聞く市民講座」から
■特別寄稿いま、ウイグルの声に耳を〈3〉─虐げられる子どもと女性、強制避妊で人口抑制
■予算不足に苦しむ小樽市犬管理所〈3〉─犬を助け犬に助けられた人生。注目される「増額要望」の行方
【ニュース】
■原発周辺4町村の住民団体が連携、目指すは「泊廃炉と文献調査中止」
■日ハムのボールパーク事業に伴う北広島駅西口整備計画に一抹の影
■総選挙の結果は追い風か逆風か?当選しても乱気流の中の今津市政
■北海道の林業史を物語る江別市の有形文化財がカフェとして再生へ
【経済】
●浦河と「ウマ娘」。大ヒットコンテンツが日高管内にもたらすもの
●コロナ下でも出店続々! 釧路町と釧路市の境界ゾーンがいま熱い
●コープさっぽろが「様似型スクールランチ」をスタート
【医療】
●日本医療大学病院を新築移転したつしま医療福祉グループの対馬代表に訊く
●我汝会えにわ病院が道内で初導入。手術支援ロボット「Mako」の実力
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(74)─会食恐怖症で苦しんだ若者の経験から
●戦争遺産をめぐる旅(75)─83人の村民が「集団自決」した沖縄県読谷村のチビチリガマ