旭川市内や道北、道東で低価格小型食品スーパー「DZマート」17店舗を展開しているダイゼン(本社・上川郡鷹栖町)。大手のSM(食品スーパー)チェーンが小型店の展開に手こずる中で「DZマート」は快進撃を続けている。小型食品スーパーの極意を「コバンザメ」、「少ない酸素でも生きていくことができる体質」と柴田貢社長は言う。小型店運営のノウハウなどを聞いた。(写真は、ダイゼン・柴田貢社長)
「大手のSMチェーンも小型店を出店していますが、小型店は小型店なりに意外と運営は難しいものです。SMチェーンが小型店を出店する場合、商品をできるだけたくさん揃えようとしますが、私たちは基本的に売れない商品は置かない方針で臨んでいます。多種類の調味料は置けないし、刺身などは当社では作れませんから置いていません。また、昨年11月からのし紙の包装サービスも取りやめました。必要な方には、のし紙と包装紙をお渡しするようにしました。そのように割り切っていかないと低価格を貫くことができないからです」
「私たちは、ある意味でSMと共存するコバンザメのような存在です。SMがなくなってしまったら私たちも商売ができなくなってしまう。少ない酸素でも生きていけるような効率的な商売を目指しています。大事なことは、お客さまが『○○を買うならDZマート』と思ってくれること。今は、『飲料を買うならDZマート』と思ってくれていますが、今後さらに『○○』を増やしていくことが私たちの生きる道だと考えています」
「本州の小型店には、買い物かごを使わない店舗があります。買い物カートに商品を詰めてレジに行くとチェッカーが買い上げ商品を別のカートに移しながらレジを打ち終え、お客さまはカートのままサッカー台(袋詰めするための台)に移動しています。当社でも買い物かごを廃止してカートで完結する店を作りたい。買い物かごよりも買い上げ点数が若干でも増えると思うからです。私たちのような中小企業は、やろうと思えばすぐに実行でき、間違っていればすぐに修正できますから」
「チェーンストア研究団体の『ペガサスクラブ』に加入して、店長など社員を選抜しながら教育しています。現在、社内コンテストを実施中で、2ヵ月に一度テーマを出して参加者に期限内にレポートを提出させ順位を付けています。1年間で計6回実施、一等賞の社員には『ペガサスクラブ』の海外セミナーに参加させます。昨年は社員18人でアメリカの流通視察に行きましたが、毎年は行けないので今年はそのような形にしました」
「私たちの戦力は、正社員27人もさることながら約280人のパートとアルバイトの力がとても大きい。その人たちのモチベーションをどうやって上げるかが大切です。人事制度の勉強会も東京から講師を招いてこの1年行ってきました。パートについては、数字の責任を伴わないチーフのポストを設けその人たちの賃金アップを図ります。3月から自薦他薦でチーフの希望者を募っており、要件をクリアしたら今年10月からチーフになってもらい賃金を上げます。パートのチーフは5人くらいを想定しています」
「今期(2020年9月期)は、旭川以外の地方で1店舗を出店する予定です。今後は新築店舗と居抜き店舗のモデルタイプの店舗を作りたい。今の店舗レイアウトを見直して全面刷新した実験店舗を考えています。今期は売上高60億円、経常利益は前期が1億5000万円だったので1億8000万円くらいはやりたい」
ーーありがとうございました。(終わり)