旭川市内や道北、道東で小型食品スーパー「DZマート」17店舗を展開しているダイゼン(本社・上川郡鷹栖町)。2019年度(18年10月1日~19年9月30日)の売上高は、前年比5・6%伸びて54億5000万円になった。売上高経常利益率は2・75%と食品スーパーの中でも高く、3%も目前に迫っている。そこで柴田貢社長に難しいとされる小型食品スーパーを経営するポイントや生き残り策について直撃質問した。(写真は、インタビューに応えるダイゼン・柴田貢社長)

「旭川市内は価格に敏感なお客さまが多いのですが、そういう中で売り上げを伸ばしているのは、『ザ・ビッグ』、『ドン・キホーテ』、『トライアル』の店舗です。共通しているのは低価格、つまりDS(ディスカウントストア)だということ。当社は3社の店舗すべての品目について徹底的に価格調査を続けてきました。それをバイヤーの仕事にして毎週結果を報告、3社の価格を意識しながら当社の売価を(3社に)近付けるようにしてきました」

「お客さまの関心の高い商品については粗利を落としてでも対応しています。これに合わせて経費を削っていくことも進めています。例えば、現在は1店舗に1人の店長がいますが、1人の店長が2店舗を見るようなスーパーインテンデンド制の実験を旭川市内の小型店『末広店』と『近文店』で始めました。今年4月からは『神居店』と『春光5条店』でも導入します。こうした人件費の抑制や一昨年実施した物流改革、自動発注システムなど作業面の見直しをしながらIT化も進めてコストダウンを実現、低価格で販売できるようにしています」

「売れ筋商品は、目立たなければお客さまは買いません。このため商品のボリューム感、豊富さを常に意識しながら店頭での販促活動をしています。共稼ぎの家庭が多くなっているので、日替わりの特売で買い物をすることができないお客さまも増えています。当社はこうした日替わりの特売でお客さまを引っ張るような販促方法は取っていません。EDLPでいつ行ってもお値打ちの商品が購入できるようにしています。そういうことも来店客数増に繋がっていると見ています」

「日替わりの特売価格にすると値段を付けたり剥がしたり、売り場を新たに作ったりと店内作業も増えてしまいます。チラシも増えますから販促費や広告宣伝費も増えます。日替わり特売に踊らないようにして常に低価格を固定するようにしているのです」

「最近の消費者の方々は、新聞を取っている方も少なくなっていますからチラシを見ない方が増えています。チラシを見る方は、どちらかと言うと比較的年配で価格に敏感な人が多く、目玉の商品だけを買って食品スーパーを買い回りする傾向が強いのではないでしょうか。当社は『常にこの価格』ということでお客さまに安心して買ってもらえるようにしています」

「これまでは、月間の低価格商品を設定していましたが1年間固定で低価格にするようにしました。バイヤーもメーカーや問屋と特売の商談をすることが多かったのですが、定番商品をいかに低価格で販売できるかという商談に切り替えている最中です。大手の食品スーパーと同じことをせず、当社独自の方法をやっていこうとしているわけです」(続く)


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