旭川市内や道北、道東で小型食品スーパー「DZマート」17店舗を展開しているダイゼン(本社・上川郡鷹栖町)。高い利益率を出している背景には緻密に導き出した改善策の実践がある。「大手の食品スーパーと同じことをやっていても生き残れない。周囲の環境に適応した経営体質をつくり上げていくことが鍵」と言う柴田貢社長に直撃質問した。(写真は、上川郡鷹栖町にあるダイゼン本社)

「昨年10月の消費増税に合わせてキャッシュレス5%還元の対象店舗になりました。当初、キャッシュレス5%還元による来店客増は10%程度を見込んでいたのですが、現状は5%程度の増加で落ち着いています。問題は今年の6月以降。5%還元が終了するので当社としては裸で外に放り出されるような感じになります。それに備えて準備をしなければならず、様々な取り組みを進めていきます」

「商品政策面では、売れ筋商品を中心にSKU(在庫保管単位)を絞り、商品のボリューム感を出しながら陳列する実験を始めます。売り場のレイアウトも変えます。お客さまの動線を調べると、通る通路があれば通らない通路もあります。全ての通路を通ってもらうようなレイアウトを考えたい。また、2人体制で店舗オペレーションをする取り組みも始めます。コンビニエンスストアよりも少ない人数で店舗を回せるようにします。平日の忙しくない時間帯は今も2人体制でオペレーションしていますが、終日2人で出来ないか検討します。2人体制になれば、時給アップやベースアップに繋がりますし有給休暇の取得にも効果的です」

「2人体制にするためにはどうすれば良いか。社内にプロジェクトチームをつくって店内の作業改善をどう進めていくのか、毎月複数回検討しています。店舗でしかできない作業と店舗でなくてもできる仕事を切り分け、店舗でなくてもできる作業を本部で負担するようにしていきます。店舗では、お客さまに『この商品はどこにあるのか』と聞かれる場合が多い。2人体制で運営していくとそうした質問には対応できなくなります。そこでやろうとしているのは商品案内板の工夫です。100円均一店舗の分類案内板を参考に、お客さまから質問が出ないように工夫していきたい」

「ロス対策にもさらに力を入れます。当社のロスは年間で約1億2000万円。値引きロス、廃棄ロスなどでそれらを1割カットしても大きな効果が出ます。いかに値引きロス、廃棄ロス、欠品ロスを少なくするか鋭意取り組みます。時給アップや手当てを増やすにはちょうどその額と見合います、それを今期(2020年9月期)にやっていきます」

「ただ、あまりロス対策ばかり言い続けると発注量が少なくなってしまう。適切なロスは必要なので部門ごとに適切なロスを何%にするかを決めます。例えばバナナを99円で売っていたとしても廃棄ロス、値引きロスがあれば売価は変わっていきます。本当の売価はいくらなのかということをバイヤーは最低限知っておかなければなりません。そういうことを含めてロス対策の徹底を実践していきます」(続く)



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