「北方ジャーナル」2019年6月号が本日15日、店頭に並んだ。今月号は、函館市消防本部に持ち上がった「手当不正受給疑惑」のスクープがトップだ。内部職員の告発により判明したのは、市内消防署などで夜勤中の災害出動のうち時間外手当の対象とならないケースにも多くの手当が発生していた疑い。同本部では現場職員への聴き取り調査を進めるなどして事実確認にあたっているところだ。北海道を含む国内4カ所の裁判所に一斉提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟関係のレポートも要注目。性的少数者(LGBT)のカップル3組が声を挙げた本道では4月中旬、札幌地裁で初弁論を迎えた原告らが札幌の法廷で意見陳述に臨んだ。「私たちは紛れもない家族」「幸せになりたいだけなのに」──記事ではその原告らの生の声を丹念に拾った。このほか犯罪被害者の救済に長年奔走し、今夏にも札幌市に関連条例案を提出する山田廣弁護士(VSフォーラム共同代表)のロングインタビューも読み応え十分だ。長いこと〝蚊帳の外〟だった人たちに山田弁護士が寄り添う理由とは何なのか。(画像は、北方ジャーナル6月号の表紙)
近年、故人の遺品に関する整理や処分が社会的なテーマのひとつになっている中でレポートした「お焚き上げ問題」も見逃せない。遺品処分の一環で故人ゆかりの品々を炎で浄化して供養するこの行為は、関連法令に留意する必要があり、一歩間違えば違法処理につながりかねない危うさが潜んでいる。記事では、お焚き上げの先進地と言われる札幌の業界の驚くべき実態が明らかに。
地域福祉のあり方を考えさせられるのが留萌管内の苫前町で起きた「補助金返還請求事件」。給与引き上げの手続きに不備があったとして同町は、苫前町社会福祉協議会に補助金の返還を請求。一方的にその責任を問われた社協の女性主査が理事会によって懲戒解雇される事態となった。苫前の福祉事業を揺るがす事件は、なぜ起きたのか。
このほか就任したばかり鈴木直道新知事の意気込みを訊いたインタビュー、先ごろ成立した「アイヌ新法」を一刀両断に批判した「新・アイヌの誤謬」も要チェック。世界的彫刻家・砂澤ビッキの息子である砂澤陣は「アイヌ新法は差別と腐敗を拡大し、日本人を分断する天下の悪法」と断言する。
北方ジャーナル6月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。
※6月号コンテンツの一部
【報道】
■函館市消防本部に浮上した不正手当疑惑。「仮眠中」の嘘が常態化?
■性的少数者に法の下の平等を②──LGBT“結婚差別”解消求め札幌地裁で当事者が陳述
■裁判所、公文書の「隠し過ぎ」認める③──不正受給、痴漢、トイレ侵入…。最高裁が’17年分の不祥事を開示
■失われた「専守防衛」。自衛官の母が3度めの意見陳述。提訴4年、PKO派遣差止訴訟
■遺品の「お焚き上げ」に潜む危うさとは。乱立する焚き上げ業者に問われる実態と法令遵守
■苫前町発「補助金返還請求事件」の深層。待遇改善に尽力した社協の主査を懲戒解雇した理事会
■後志管内・市町村議会選挙の結果を読む。パワハラ訴えたニセコの斉藤町議は3選
【特別インタビュー】
■弁護士・山田廣さんに訊く「犯罪被害者の尊厳を守る血の通った支援条例制定を」
【新連載】
■砂澤陣の新・アイヌの誤謬。差別と腐敗を拡大する「アイヌ新法」
【当選インタビュー】
■鈴木直道・新北海道知事に訊く「希望は逆境への挑戦から生まれる」
■植村真美道議に訊く「どの地域にも必ずある魅力」
■渕上綾子道議に訊く「多様性を認める社会づくりを」
■福士敦朗苫前町長に訊く「ここを一生暮らせるまちに」
【ニュース】
■「海を原発から守ろう」と地元住民が日本海沿岸でキャンペーンを計
■銀幕スターを粘土人形で忠実に再現。小樽で高山美香さんの企画展開催中
【経済】
◇路地裏経済ウォッチ・令和時代の新消費スタイル。道内でオープンする大型商業施設の姿とは
【医療】
◇札幌東徳洲会病院が僧帽弁逆流症の最新治療「マイトラクリップ」を導入
【長期連載】
■“農と食”北の大地から(178)──札幌の盤渓で農業・観光・森林づくりに奔走してきた我満嘉明さん(前編)
■ルポ「ひきこもり」(45)──傷つきながらも母と娘が最後につかんだ本当の絆