北海道信用保証協会吉澤慶信会長インタビュー、「保証先企業の経営指導モニタリングを強化し再生支援」

金融

北海道信用保証協会の4月から7月までの保証額と代位弁済額、保証承諾残高が明らかになったが、それによると保証額は1146億円で前年同期間比12%減、保証承諾残高も1兆51億円で同6%減となった。一方、代位弁済額は前年同期間を13・7%上回る101億円となり、中小零細企業は新規借り入れを抑制、倒産企業が増えていることが分かった。吉澤慶信会長にこれら保証3要素から見た道内景気の実情を聞いた。(写真は、吉澤慶信会長)

――保証額や保証承諾残高が減少している理由は。

 

吉澤 緊急保証が一巡して中小零細企業の借り入れが減っているためだ。これまでに緊急保証をはじめ様々な支援策で中小零細企業の借り入れが増えて返済負担が多くなっている。このため新規借り入れよりも返済を優先、道内中小零細企業の資金需要は当分大きくは出てこないだろう。

 

――保証承諾残高の1兆円割れが近い。

 

吉澤 保証残高は昨年来の緊急保証で伸びたもので、4~7月は緊急保証以前の平年度ベースに戻ってきた。当協会としては残高1兆円確保を目標値に置いている。

 

――保証先の倒産による代位弁済額が増えている。昨年度までと状況が変わったのか。

 

吉澤 昨年度は金融円滑化法による返済猶予などで保証先の倒産は抑制的だった。円滑化法は1年延長されているが、金融庁は借入先の条件変更に応じる場合は、経営改善に繋がるかどうかを見究めて、金融機関のコンサル機能を発揮した上で条件変更に対応する姿勢に変わった。

 

昨年度までは緊急保証と金融円滑化法という2つの政策支援で倒産は少なく推移したが、今年度は実質上1つの支援のため借入先を支える効果が薄くなり倒産増→代位弁済の増加になっている。

 

――今後、代位弁済は増えていくのか。

 

吉澤 1998年に導入された特別保証制度の場合は、保証制度が終わってから2~3年目に影響が出てきたため、今回の緊急保証も来年以降に影響が出てくるのではないか。注意深く対応していかなければならない。

 

――代位弁済を防ぐために信用保証協会としてどのような対応を考えているのか。

 

吉澤 7月から金融機関と連携して保証先のモニタリングを強化している。1億円程度の保証先に中小企業診断士資格を持つ当協会職員が入り、再生支援などの経営指導を行うもので当協会としては初めての試みだ。これによって保証先の状況把握を強める。金融機関と一緒に相手先の了解を得たうえでの支援になる。

 

――景気判断の見通しはどうか。

 

吉澤 保証先は建設が3割強、卸・小売りがそれぞれ15%ずつで、この3業種だけで保証先の6割を占めているが、景気回復の足音は感じられない。

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