道内23信用金庫の2011年3月期決算が24日に出揃った。23信金全体では、減収増益となったが、景気低迷による資金需要の伸び悩みによって貸出金が2期連続減少、メガバンクや地銀などとの金利競争が激化し貸出金利息も減少、本業による収入(業務収益)は前期比2・2%減となった。個別に見ると、赤字は渡島信金の1金庫のみだったが、減益金庫は渡島を除いて12金庫に及び、各信金の収益状況の振れ幅が大きかったのも特徴。
不良債権比率は、金融円滑化法による金利減免措置をとっている一部企業向けの引当率を予備的に高めている信金もあって、全体で前期より2・2%増、1430億円に増えた。
信金が置かれている状況は、コンスタントに増え続ける預金に対して貸出金の減少が続くという金融機関としては健全とは言えない歪な局面にある。中小企業向け貸出しの減少を地方公共団体向け貸出しでカバーしているが、金利競争によって地公体向けは1%を切るような金利しか取れず、貸出し金利と預金金利の利ざやで稼ぐ金融機関本来の収益モデルが崩れつつあることを示すような決算となった。
預金に占める貸出金の割合を示す預貸率は47・88%。10年3月期で初めて50%を切ったが、11年3月期はさらに1・74ポイント低下、史上最低を更新した。
渡島信金の赤字は7億7300万円。融資先の水産加工会社倒産の影響だが、この企業は要注意先で渡島は引当率も通常の4%程度しか積んでおらず、14億円程度の融資のうち担保と引き当てを除いた11億円程度の損失が出たことによる。
12年3月期も金融環境は同様の状況が続くと見られ、全体では減収増益になると見込まれるが、各信金によって収益格差は11年3月期以上に広がっていくと見られる。信金業界にも規模の差がくっきりと現れてくるかも知れない。
23信金の決算概況数値は以下の図表に記した。(PDF:24.8KB)