ゆっくりとスピードを上げて数分で時速260㎞に達し、車窓から見える雪景色が流れていく。3月26日に開業する北海道新幹線にひと足早く乗った。速くて揺れない、スムーズな加速。非日常が日常になる日が待ち遠しい。(写真は、上から新函館北斗駅に停車する北海道新幹線、エルムの木をイメージした内装が印象的な車内、車体に描かれた北海道新幹線のシンボルマーク)
木古内駅から新函館北斗駅までの往復に試乗。木古内駅の新幹線ホームにH5系の真新しい列車が音もなく到着する。ホーム柵がするすると開き乗車。車内の照明は、目に優しい黄色がかった乳白色のLED。エルムの木目をイメージした棚や雪の結晶をモチーフにした床材、ブラインドには縄文文化やアイヌ文化がブレンドした文様が散りばめられている。
木古内駅を発車、スピードは徐々に上がり、北海道新幹線の営業最高速度、時速260㎞に達したのはトンネルの中だった。外を走っていると聞こえない列車音もトンネルの中では壁に当たってよく聞こえる。その音が旅情を掻き立てる。
視界が開けてくると、雪景色の中に点在する家々や木立ちが見えてきた。まもなく列車は減速しなから左に弧を描くように傾き、走る方向を北に変えて新函館北斗駅に到着した。
12分間の北海道新幹線体験。車窓を過ぎ去る景色見ていると、一瞬、本州のどこかを走っているのと錯覚するほど。新幹線と言えば本州の乗り物ということがそれだけ意識に刷り込まれている。東海道新幹線の開業から半世紀を経て新幹線が北海道にやってくる。非日常の世界が日常になる期待感。北海道新幹線という非日常が日常の光景に溶け込む日は近い。
木古内駅から新函館北斗駅に向かう12分間は、北の大地に足を踏み入れたような心躍る気持ちになり、新函館北斗駅から木古内駅に向かう時は本州を目指す高揚感にも似た気持ちが湧き上がる。12分ずつのショート体験の続きを是非味わってみたい。