ススキノの玄関口にあるススキノ十字街ビル。ヨークマツザカヤからロビンソンと百貨店は変遷、そして現在はススキノ十字街ビルが自ら運営する専門店『ラフィラ』がビルの顔になっている。地下1階と2階には、同ビルの大株主でもあるイトーヨーカドーが入っており、ススキノ飲食店関係者の食料品調達場所として根強い人気がある。
そのススキノ十字街ビルの株式が、1円で売買されていたことがわかった。売買のきっかけになったのは、建物と土地の一部を持つ株主がRCCから債権回収を実行されたためだ。その株主は、保有する土地建物をRCCに担保として供していたが、RCCは抵当権実行を通知。株主とススキノ十字街ビル、RCCの三者の間で同ビルが土地建物を買い取りRCCへの債務を解消することになった。
結果、三者間で債権債務が調整されてRCCの抵当権実行という最悪の事態は回避された。その過程で発生したのが、その株主が持つススキノ十字街ビルの株売買。
持ち株比率は4万2575株で発行済み株式数の20数%とされている。この株は、同ビル社長の遠山日露史氏が個人で購入、その金額は1株1円、総額4万2575円で譲り受けている。株の譲渡制限がついており、株の売買には取締役会の承認を受けなければならない。社長である遠山氏は取締役会の承認を受けていることは推測されるが、他の株主に対して1円の根拠や売買の経緯を十分に説明しているかというとそうではない。
遠山社長が、株を譲り受けたのは、ススキノ十字街ビルが赤字で累積損失を抱えているためと言われている。そもそもは、同ビルが自社株として買い取れば何の問題もないはずだが、株主総会の特別決議が必要なことと、分配可能額を超えないことが自社株買いの用件にされている。累損があっては自社株は買えないということになり、遠山社長が譲り受けたものと見られる。
ただ、1円という備忘価格は、債務超過で他の株主が評価損を計上している場合とされる。累損は解消の方向に向かっており、いずれは会社側が遠山社長の株を買い戻すことになれば、遠山社長は少なからず売却益を得る可能性も出てくる。
いずれにしても1株1円という株譲渡には不透明感が漂っている。
(写真はススキノ十字街ビルの株式譲渡契約書のコピー)