丸井今井札幌本店と札幌三越は、2014年6月から大規模改装を行い15年春の第1期リニューアルに続き第2期リニューアルを終え、9月17日にリモデルスタートした。まるいと三越の2MがJR札幌駅南口の大丸札幌店に対抗できるか、正念場の勝負が始まった。
(写真は、丸井今井札幌本店=上と札幌三越)
まるいは大通館3階の婦人服フロアをメーンにリモデル。世界のモードや東京の最旬モードを揃えたほか、「札幌モード」の提案も行う。札幌モードは、美術館のようにインターナショナルなデザイナー・クリエーターの発信するモードブランド全9ブランドを集積した「ファッションミュージアム」とこの美術館を囲む森をイメージしてカジュアル、ミニマル、ポップなどは幅広いテイストやニーズの高い雑貨などを品揃えした「ファツションフォレスト」の2つのゾーンで構成されている。17店が新規出店した。また、北海道の素材にこだわったコラボレストラン「ル・クルーゼ」もオープンした。
三越は、地下1~2階の食品フロアを大幅リニューアル。道内初出店のバウムクーヘン専門店や煎餅店などがテナント出店した。
今回の大規模リニューアルは、丸井今井が経営破綻して三越伊勢丹がスポンサーになって現地子会社、札幌丸井三越が誕生した2011年以降で初めて。かつての2Mは1Mになり傘下に2つの百貨店がぶら下がる2B(2つのブランド)体制になった。2Bは、近接しているだけに差別化が難しく、1のMになったばかりにどっちつかずの印象で三越とまるいの個性が薄まってしまったと言える。そのことが、駅南口にある大丸札幌店を勢いづかせる要因にもなった。
今回の最大規模リニューアルが2Mを復活させるような個性を引き出せているかどうか、札幌百貨店戦争は正念場に入った。いずれにしても今回のリニューアルは将来を見据えた場合、必要条件を満たしていても十分とは言えない。10年先、20年先を見通した先見性のある戦略を描くためには、まるいと三越の1館巨艦体制の構築が避けられないだろう。