地域の廃食油を利用した地産地消循環モデル「ロードカルSDGs」、小樽市が全国2番目に導入

社会・文化

 小樽市は、地域の家庭や飲食店から発生する廃食油をアスファルト合材製造時のA重油代替燃料として使い、地域の道路や歩道に還元する「小樽市ロードカルSDGsプロジェクト」(ローカルとロードを掛け合わせた造語)を始めた。廃食油という、隠れた地産地消エネルギーを有効利用する地域循環サイクルの構築を目指し、市や教員委員会もプロジェクトに参加、小中学校のSDGs教育も行う。(写真は、2024年10月10日に行われた田中鉄工「小樽市ロードカルSDGs発表会」)

「ロードカルプロジェクト」は、佐賀県三養基郡基山町にあるアスファルト合材のプラントメーカー、田中鉄工が構築した廃食油利活用の地域一体型SDGsモデル。2024年4月に、長崎県大村市がこのモデルを導入しており、小樽市は、全国2番目の導入となる。

 既に取り組みが始まっており、ラルズやコープさっぽろ、イオン北海道の店舗など市内12ヵ所で回収された家庭用廃食油を、北海道油脂事業協同組合の加盟社が回収精製。小樽アスコン共同企業体(日本道路、秋津道路により組成)が、アスファルト合材製造プラントで使用している。ここで製造されたアスファルト合材は、市内の道路や歩道の舗装に利用されている。

 今年3月から9月までに回収された廃食油を燃焼用に使用し、製造したアスファルト合材は、約2万3000t。同企業体の年間製造量の半分を占めるという。ネックは、既存のA重油に比べてやや割高なこと。循環サイクルの合理化などを進めてコスト低減を進める。

 小樽市内の家庭用廃食油の95%は、固形化するなどして家庭用ゴミにして廃棄されており、現在のリサイクル率は5%、年間約5100t。市や教育委員会、各小売店での普及啓発活動を通じて回収率を高めて、廃食油のリサイクル率を高める。また、全国油脂事業協同組合連合会によるトレーサビリティの仕組みを導入して廃食油の回収、再生、利活用までの履歴を可視化、カーボンオフセットの適用を目指す。

 2024年10月10日に、小樽市経済センターで行われた田中鉄工「小樽市ロードカルSDGs発表会」で、小樽市の迫俊哉市長は、「ゼロカーボンンシティを掲げる当市にとって、地域一体となったSDGsモデルを道内で初めて導入できたことは喜ばしい。今後、市民、事業者と力を合わせて持続可能なまちづくりに向けた取り組みを進めたい」と話した。

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