巨大レリーフが見守る最後の道銀本店ロビーコンサート

社会・文化

 再開発による建て替えのため、移転が決まっている北海道銀行本店(札幌市中央区大通西4丁目1)。高い天井と巨大レリーフに囲まれたその本店で、最後のロビーコンサートが行われた。クラリネットの音色とピアノの旋律が、窓口業務終了後の本店の広々とした空間に軽やかに響き渡り、集まった150人を引きつけた。(写真は、道銀本店で行われた最後のロビーコンサート)
(写真は、道銀本店にあるレリーフ「大地」)

 公益財団法人道銀文化財団が主催する道銀本店ロビーコンサートは、2018年10月に始まった。当時、札幌交響楽団のコンサートマスターだった大平まゆみさんを迎え、ヴァイオリン演奏が行われた。約300人が集まり、大平さんはいつもの演奏会と違う観客との間合いに感激して観客の間を練り歩き、予定時間を20分間オーバー、1時間にわたって音色を響かせた。

 2019年12月からは「CLASSIC♪FAN♯」と題して定期開催を始めたが、コロナ禍で中断。2023年3月から再開して、最後のロビーコンサートになったのが10回目として2024年3月15日18時から行われた「クラリネットとピアノ~ブラームスへのオマージュ~」。奏者はクラリネットが河野泰幸さん(京都市出身、札幌市在住)、ピアノは岡本孝慈さん(千葉県松戸市出身、札幌市在住)。マックス・レーガー作曲の「クラリネット・ソナタ第3番変ロ長調Op.107第1楽章Moderato」、マリエ・エリザベート作曲の「ロマンス」、ヨハネス・ブラームス作曲の「クラリネット・ソナタ第1番へ短調Op.120-1」が約40分間演奏された。

 道銀本店には、「大地」と命名された縦3・3m、横41mの巨大レリーフ(ポリエステル樹脂製、重さは銅の13分の1という)が掲げられている。佐藤忠良、本郷新、山内壮夫という、北海道ゆかりの彫刻家3人による合作で1964年、道銀本店ビル竣工時から道銀のスピリットを凝縮した存在だった。最後のロビーコンサートとなったこの日は、レリーフがライトアップされ、クラリネットとピアノの共鳴が、非日常空間をさらに膨らませた。この本店での営業は、2024年4月19日が最後となる。

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