大和ハウス工業(本社・大阪市北区)を幹事とする6者で構成するコンソーシアムが2017年3月から進めてきた、新さっぽろエリアの大規模複合開発プロジェクト「マールク新さっぽろ」(約5万5700㎡=一部借地)が完成した。2023年12月10日、商業施設「BiVi新さっぽろ」の2階の室内公園「BiVi PARK」で、「マールク新さっぽろ」の完成を祝うまちびらきセレモニーが行われた。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、「マールク新さっぽろ」まちびらきセレモニーでの鏡開き)

 この大規模複合開発プロジェクトは、新さっぽろエリアにあった市営下野幌住宅跡の2街区(G街区とI街区)を複合開発したもの。市は、2016年10月に公募提案型によるまちづくりの募集を実施、2017年3月に大和ハウス工業や札幌学院大学、医療法人脳神経研究センター新さっぽろ脳神経外科など6者が最優秀提案者に選ばれ、2018年12月に市と公有地財産売買契約を締結。2019年3月からG街区の造成工事、2019年5月からI街区の造成工事を進めきた。

 2021年4月の札幌学院大学新札幌キャンパスや滋慶学園札幌看護医療専門学校の開学から順次、施設が完成、2023年5月のタワーマンション、7月のホテル、11月30日の「BiVi新さっぽろ」の開業により、コンソーシアムの公募提案へのエントリーから7年間にわたる大規模開発プロジェクトが完成した。総事業費は約550億円。

 この日行われたまちびらきセレモニーで、大和ハウス工業執行役員マンション事業本部長の富樫紀夫氏は、「大和ハウス工業にとっても一大プロジェクトだった。建設途中にコロナ禍や物価変動など難しい局面もあったほか、2021年12月には当社の不祥事で1ヵ月間の営業停止ということもあった。構成員の間では激しい議論もあったが、知恵を絞って課題解決にあたり、ようやく完成した。このまち、このエリアがますます賑わい、繁栄していくようにエリアマネジメント室を新設して人員配置、長くまちづくりに関わっていきたい」と挨拶した。

 来賓として出席した秋元克広・札幌市長は、「多くの人たちの交流によって賑わいが生まれ、札幌の新たな顔として道内外に発信していける場所として期待している。ラピダスなどの集積で、道央圏は国内外から注目されており、『マールク新さっぽろ』が札幌、北海道の発展に寄与していただけるものと確信している」と挨拶した。

 まちびらきセレモニーでは、大和ハウス工業、北海道ガス(本社・札幌市中央区)、新さっぽろにある札幌市青少年科学館との間で、包括連携協定の調印式も行われた。札幌市教育委員会教育長の檜田英樹氏は、「今回の連携協定によって現在リニューアル中の青少年科学館は子どもたちにとっても大変魅力ある施設になるだけではなく、自分たちのまちを見直し、世界に羽ばたく子どもが育つ環境が生まれる」と期待感を示した。

 セレモニーでは、その後、関係者による鏡開きと餅まきが行われ、集まった人たちと完成を祝った。「マールク新さっぽろ」のプロジェクトを進めてきた大和ハウス工業北海道支店マンション営業所所長の菅原貴志氏は、「建設資材の高騰で、象徴となるアクティブリンクの設置を断念しようと考えたこともある。しかし、コンソーシアムに参加している皆さんから、経済的に厳しくてもやるべきだと言われ、作ることにした。コンソーシアムによる複合開発の手法を取り入れたプロジェクトだったからこそ、すべてを完成させることができた。当社が、幹事としてこれだけの規模の複合開発をしたのは初めて。これをモデルケースとして、道内他都市でも横展開していきたい」と話していた。
(写真は、「マールク新さっぽろ」の象徴となる「アクティブリンク」。地下鉄新さっぽろ駅、JR新札幌駅から空地歩廊で繋がっている)


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