閉業していた稚内市にある日本最北の天然温泉「港の湯」が、10月下旬に再開する。このスーパー銭湯は2007年4月にオープンしたが、コロナ禍が始まった2020年3月に閉業。市が施設の無償譲渡を受け指定管理者制度を導入、温浴施設やシティホテルであかすり、ボディケア、エステを展開しているフィル&スマイル(本社・札幌市豊平区)が指定管理者になって、10月下旬にオープンする。(写真は、10月下旬、2年7ヵ月ぶりに再開する「港のゆ」)
天然温泉港のゆは、市が開設した商業・観光施設「稚内副港市場」に隣接した施設。オープン時期はいずれも2007年4月。港のゆの所有、運営は地元の建設会社中田組の子会社が行っていたが、同社は経営不振を理由に2020年3月末に閉業。中田組は事業承継先を募ったが見つからず、市に無償譲渡を提案。市は、今年4月に無償譲渡を受けることにした。
市は、港のゆに指定管理者制度を導入、公募を経て6月にフィル&スマイルを選定した。公募には、同社だけが応募したが、市は選定理由について「地域と連携した取り組みや新しい事業提案が評価でき、民間のノウハウを生かした適正な管理運営を実施できる団体であると認められたため」としている。
フィル&スマイルは、マッサージ事業やエステティック事業、あかすり事業などを行っており、つきさむ温泉(札幌市豊平区)、モエレ天然温泉たまゆらの杜(同市東区)、小金湯温泉湯元小金湯(同市南区)、JRタワーホテル日航札幌(同市中央区)、モントレエーデルホフ札幌(同)など19ヵ所で展開している。今回、初めてスーパー銭湯の運営を手掛けることになった。指定管理期間は、2022年10月1日から2027年3月31日までの4年6ヵ月。
港のゆは現在、市が9500万円をかけて改修工事を進めている。10月下旬には、「ヤムワッカナイ温泉 港のゆ」に名称保変更してオープンする。ヤムワッカナイは、アイヌ語で冷たい水の出る沢の意で、稚内の由来になった地名。なお、市では、年間11万5000人が利用し、営業収入は7200万円、燃料費や人件費を含めると運営費は1億1000万円と試算。赤字分の3800万円を市は、指定管理費として手当てする。