吹き抜けのエントランスに設置された安田侃氏の彫刻「意心帰(いしんき)」と道産木材や江別産レンガを多用した建物が、温かく出迎えてくれるーー岩見沢市役所の新庁舎が完成、2022年1月4日の仕事始めに合わせて供用が始まる。道内2例目の「書かない窓口」を導入したり、防災対策として7日間の自立稼働を可能とする発電施設や給排水設備を設置したりするなど、高い市民サービスを実現する庁舎。市民でなくても足を運びたくなるような市役所と言えそう。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、安田侃氏の彫刻「意心帰」が出迎えるエントランスホール)
(写真は、「書かない窓口」を導入した市民サービス課窓口)

 新庁舎は、現庁舎の前面敷地(鳩が丘1丁目1番1号)を利用して建設された。1965年に建てられた現庁舎は、56年間にわたって利用されてきたが、老朽化や耐震不足もあって2017年4月から新庁舎建設の検討を開始。基本設計、実施設計を経て2019年10月末に着工、25ヵ月間の工期を終え、2021年11月末に竣工した。

 1階のガラス張りのエントランスホールに設置されたホワイトブロンズの「意心帰」は、安田氏が北海道教育大学岩見沢校卒業という縁から、市が制作を依頼。重さ約1tの丸みを帯びた造形の、ところどころにある不揃いの傷のような窪みが印象的で、江別産レンガの壁をバックに、古くからそこにあるような存在感を放つ。〈形は心を求め 心は形に帰る〉が「意心帰」の主題とされ、新庁舎のシンボルとなって新しい記憶を市民とともに刻むことになる。

 建物は地下1階、地上4階建て、鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、延べ床面積は約3248坪(1万719・91㎡)、総工費は約61億8500万円。1階は、市民サービス課、子ども課、医療年金課、高齢介護課など市民の利用頻度が高い部署を配置。住民票など証明書発行時に申請書を書かずに申請できる「書かない窓口」を北見市に次いで道内2自治体目として導入、手間軽減や待ち時間短縮など市民サービス向上を図る。岩見沢青年会議所から寄贈された絵本を置くキッズスペースも待合スペースに設置したほか、デジタルサイネージで観光情報や行政情報を流す。売店には、山崎製パンの「ヤマザキYショップ」が入る。

(写真は、4階の議場)
(写真は3階市長室。現市長室の机や椅子を運び込むため何も設置されていない)

 2階は、建築課、水道課、下水道課、農務課など事業部門、3階は庶務課、企画課など管理部門のほか、防災対策室や災害時に対策本部となる庁議室も配置。市長室や副市長室もこのフロアにあるが、市長室には現庁舎で利用している机と椅子、調度品がそのまま利用されるという。4階は議会フロアで議場や委員会室、議員控室などがあり、テラスも用意されている。夏場には展望テラスとして開放することにしている。

 また、防災庁舎として非常用発電設備、液化石油ガス980kgを備蓄した空調設備など7日間自立可能な設備を導入した。さらに、環境配慮型庁舎として、地中熱を利用した空調設備、11kwの太陽光発電システム、外断熱工法、高断熱ガラスなども採用、エネルギーロスを抑え、同じ規模の建物より4割のエネルギーコストダウンが図れるようになっている。
 新庁舎への引っ越しは、12月28日の仕事納めの翌日から始まる。お正月休み返上で職員約440人の引っ越しが行われ、2022年1月4日から新しい庁舎が市民を迎え入れる。
(写真は、2階のフロア)
(写真は、完成した新庁舎)



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