広い空き地の中で寂し気に佇む「FLORE」ーー札幌市白石区菊水3条5丁目の六差路交差点に架かる「菊水円形歩道橋」の脇でこんな光景が広がっている。(写真は、「ベルクラシック札幌フローラ」の跡地に立っている松本純一氏の作品「FLORE」)

「FLORE」は野外彫刻家、松本純一氏の作品。先日紹介した駅前通の「MANAZASHI」、「EYES」と同じ作者によるもの。猫のような耳と小さな眼、おへそのような銀色の球など、柔らかなフォルムともに見るものの感情に合わせて語りかけてくるような彫刻作品。この作品は、その場所にあった結婚式場「ベルクラシック札幌フローラ」とともに立っていた。建物は、築40年近く経っていたこともあって昨年10月から解体が始まり、今年4月には解体が終わり更地になった。そこにポツンと残ったのが、この「FLORE」。建物があった時には、脇役のようにそれほど目立つ存在ではなかったが、更地になると一躍目立つ存在になった。まるでその土地の守り神のような風情を醸している。
 
 土地と「FLORE」を所有しているのは、ベルコ(本店・大阪府池田市)。同社は、加入口数266万口の冠婚葬祭互助会で、北海道にも多くの拠点を持つ。同社によると、「新たな建物を建設することは決まっているが、コロナの感染拡大が収まらない状況で具体的には進んでいない」(不動産部)としており、当面の間は更地の状況が続くという。
 
 では、「FLORE」はどうなるのか。撤去されるのか、このまま鎮座を続けるのか。「新しい建物が建っても残すことを前提に撤去しなかった」(同)。寂し気ではあるが、どこか孤高を楽しむようにあたりを見渡している風にも見えるのは、次の出番があるからなのかもしれない。

(写真は、「FLORE」像)


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