街角に潤いを与えてくれる野外彫刻。普段はあまり気づかないが、野外彫刻は街を彩るモニュメントとして欠かせない。札幌の駅前通には、対になった野外彫刻があった。その一方がビル建て替えのため撤去され、今は片一方の彫刻だけが佇んでいる。新ビル竣工後にはもう一体は戻ってくるのだろうか。(写真は、札幌駅前通の旧「ヒューリック札幌NORTH33ビル」前の歩道にある野外彫刻「EYES」)
(写真は、解体前の「ヒューリック札幌NORTH33ビル」と野外彫刻「MANAZASHI」=左下)

 札幌市中央区北3西3の「ヒューリック札幌NORTH33ビル」。このビルは長谷工コーポレーション(本社・東京都港区)などが建築主になって1992年2月に竣工したオフィスビル。2008年に、みずほフィナンシャルグループのヒューリック(同・同都中央区)が取得した。現在は、建て替えのため地下部分の解体工事が行われている。

 このビルには、92年の竣工当時から北海道出身の野外彫刻家、松本純一氏の彫刻が対になって設置されていた。一つは駅前通の歩道上にある「EYES」。もう一つはビルの正面入り口付近の「MANAZASHI」。共にネコの顔のような印象を放ちつつ眼のような中空の穴が開いている。「MANAZASHI」を支える足のような柱4本のうち、一つだけ赤い色をしているのも特長的だった。

 しかし、「ヒューリック札幌NORTH33ビル」の解体工事が始まり「MANAZASHI」は撤去された。解体工事が終わるのは5月後半で、その後、新ビルの建設が始まる。新ビルは、敷地面積約771坪(2547・15㎡)、建築面積約319坪(1055・74㎡)、鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造の地下1階、地上11階建てで延べ床面積約3392坪(1万1195・91㎡)、建物の高さは49・70m。

 新ビル建設によって街に活気が生まれる一方で、「MANAZASHI」が消えてから一人になった「EYES」は無聊(ぶりょう)をかこっている。「MANAZASHI」が戻る日は来るだろうか。



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