札幌市内で岩井食品が製造した白菜の漬物が感染源となった腸管出血性大腸菌O157による死者が出たことで、さらなる被害拡大が懸念されているが、O157は便などを介して人から人へ感染する例も多く、高齢者や子供は特に注意が必要だ。(写真は、岩井食品の工場)
 
 例年、夏の時期にはO157の食中毒が増えるが、今年は例年以上に感染者数が多い。もともとは牛の腸内にいるO157は、と畜・解体処理工程で塊り肉の表面に付着するケースが多い。食肉を中心部まで75度C以上で1分間以上加熱する対策が有効だが、肉に付着していた菌に触れた手を十分に手洗いしなければ感染は拡大していく。
 
 次亜塩素酸ソーダやアルコールでも菌を死滅させることはできるが、家庭での対応は手洗いを徹底したりまな板や包丁など調理具の洗浄を十分に行うことが有効。
 
 北大病院感染制御部の石黒信久診療教授は、「抵抗力の弱い小さな子供や高齢者が感染すると便から人から人へ感染するケースがあるため重症化したり、感染者数が増えてくる可能性はある。とりわけ高齢者施設では入所者が一箇所に長期間生活するため感染拡大には注意が必要」と言う。
 
 また、「今年は例年に比べて感染者数が多いようだが、例年の菌なのか、毒素の強い例年にはない菌なのかを調べる必要がある」とする。
 
 O157の遺伝子の型を徹底して調べるのは、札幌と小樽を結ぶ鉄道レールの距離から1~2mの違いを見つけるのと同じくらいの労力と時間がかかるという。
 
 石黒教授は家庭でできる食虫毒予防について、「食事の下準備、調理、食事の際に手を十分洗うこと。洗い残す場所は、指の先、指の間、親指と大体決まっているので特にこの部分を重点的に洗うこと」とアドバイスする。



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