小樽運河の主役だった艀(はしけ)、解体進む最後の1隻

社会・文化

 小樽運河を象徴する艀(はしけ)の最後の1隻が間もなく姿を消す。老朽化による浸水などによって保存が困難として解体作業が進められているもので、9月末には解体が完了、小樽の歴史をつくってきた主役の一つが生涯を閉じる。
(写真は、解体作業が進んでいる小樽で最後の艀)

 この艀は、沖に停泊している大型船と小樽運河との間で旅客や貨物を運ぶために活躍した小型運搬船。動力はなく、タグボートなど小型動力船が牽引して利用されてきた。艀の全盛期は、大正末期から昭和初期にかけて。旅客を運ぶ乗用艀やコメ、塩、木材、鰊粕などを運ぶ運送艀があり、大正13年には600隻を超え、艀の積み降ろしに携わる人は1300人以上に上ったという。

 しかし、小樽港に大型船が接岸できる埠頭が建設されて艀の必要がなくなり徐々に減少。最後まで残っていたこの艀は、1989年に民間の船舶輸送会社から小樽市に寄贈され、市は2001年に改修して同年から北運河で保存展示されてきた。

 改修から約20年、錆による損傷が激しく浸水により水没しかねないため市は、「鋼製甲板型艀解体工事」を行うことを決めた。7月8日から準備が始まり、8月17日に本格的に船体の解体が始まった。工事は竹下建材店(小樽市)が行い、9月30日で終了する。

 最後の艀は1969年建造で全長24m、幅8m。船体は思った以上に大きく、三角形の船首が往時の往来を偲ばせるように運河に浮かんでいる。船上では風雪の染み込んだ甲板の鋼を、溶接によって切り離す作業が行われている。積み重ねてきた歴史の薄皮を剥がしていくような作業は、淡々とした作業員の動きによって悲哀を漂わせている。

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