札幌弁護士会に登録して弁護活動を行う弁護士が2011年度末までに640人を超える見通しだ。01年度末には322人だったため10年間で倍増することになる。しかし、新人弁護士を雇用する弁護士事務所はそれほど多くなく、弁護士事務所の机と電話を借りて開業する「ノキ弁」から、会員登録後にすぐに独立する「即独」弁護士が増えざるを得ないのが現実だ。(写真は札幌弁護士会会員の活動舞台になる札幌地裁)
札幌弁護士会に会員登録している弁護士の過去10年間の推移は次の通り。カッコ内は前年からの増加人数。
2001年度末322人
02年度末329人(+7)
03年度末333人(+4)
04年度末364人(+31)
05年度末385人(+21)
06年度末410人(+25)
07年度末459人(+39)
08年度末504人(+41)
09年度末539人(+35)
10年度末591人(+52)
大学院修了者を対象にした新司法試験に合格した新60期(2006年11月から1年間の司法修習)を終えて弁護士登録が始まった2007年度以降は、旧司法試験合格者の旧60期(司法修習期間は1年4ヵ月)を終えた登録者が重なって札幌弁護士会には新旧60期の50人が会員登録を行った。ただし、退会弁護士もいることから07年度の純増数は39人。
日弁連によると、10年の司法試験に合格した弁護士志望の司法修習生のうち今年7月末で就職先が決まっていないのは全体の43%を占めている。日弁連では企業や行政機関への採用促進を訴えているが、道内企業では殆ど受け入れる体制にはない。
このため、札幌弁護士会には今後も年間50人前後が会員登録をすると見られ、6~7年後には1000人の大台に乗るのではないかと見られている。
かつては司法修習を終えた弁護士志望者の就職先は、既存弁護士事務所の「イソ弁」(居候弁護士)と決まっていたが、新司法試験が始まって最初の司法修習を終わった07年度からは、既存弁護士事務所の軒先を借りる「ノキ弁」へと変わり、最近では司法修習を終えていきなり独立せざるを得ない「即独」弁護士が増えているという。
日弁連の役員の中には、着手金ゼロで成功報酬型の収入体系に変えるべきという意見も出ており、働き口や収入確保に新たな対策が必要になっている。