2016年4月から耐震補修工事などで休館していた札幌市旧永山武四郎邸と札幌市旧三菱鉱業寮(中央区北2条東6丁目、永山記念公園内)が、23日から一般公開される。開拓使が手掛けた明治前半の和洋折衷住宅である旧永山邸と昭和初期のモダンな洋館デザインが特徴の旧三菱鉱業寮を、活用しながら保存する新たな取り組みが始まる。(写真は、旧永山武四郎邸=手前と旧三菱鉱業寮の外観)
旧永山邸は、第2代北海道庁長官、屯田兵司令官、第7師団長などを歴任した薩摩出身の永山武四郎の私邸で明治前半の北海道の上流住宅の好例とされる。北海道指定有形文化財に登録されている。
1911年に三菱合資会社が旧永山邸の土地・建物を買収、37年に寮を増築しており、明治と昭和が共存する建築物。85年に市に施設が寄贈され、土地は市が取得した。
(写真は、旧永山邸内部)
リニューアルによって、旧三菱鉱業寮1階にはカフェレストラン「ナガヤマレスト」(22席、屋外40席)が設置されたほか2階の和室3室を貸し出す事業も始め、施設や苗穂・北3条通の歴史などに関する展示も行う。旧永山邸は外壁などを修理、内部は永山武四郎に関する展示を充実させた。
(写真は、カフェレストラン「ナガヤマレスト」)
(写真は、旧三菱鉱業寮22階)
今回初めて指定管理者制度が導入され、ノーザンクロス(本社・札幌市中央)とMMSマンションマネージメントサービス(同・同)の共同企業体が選ばれた。指定管理機関は5年間。
貸室(和室)の予約はすでに始まっており、20日までで55件が入っている。銀婚式や尺八合同演奏会、同窓会など使用方法も様々。使用料は午前9~12時で700~1000円、午後1時から5時で850~1200円、同6時から9時で1000~1500円で区民センターの利用料金と合わせている。ただし、営業目的での使用は10割増しになる。
和洋折衷喫茶「ナガヤマレスト」では、洋食とソフトクリーム、スイーツなどを用意、クッキーや文具などの物販も予定している。
福田秀則館長は、「明治と昭和を体感できる歴史的な価値ある建築物なので、今回のリニューアルによって地域のシンボルになるようにしたい。カフェや貸室事業も行い文化財の保存と活用を進めていきたい」と話した。なお、初年度の入館者は1万人を予定している。観覧は無料。
(写真は、屋外テラス)