札幌市発注のトンネル復旧工事で市の係長から最低工事価格の情報を入手し、工事を落札、競争入札妨害の罪に問われた岩田地崎建設の元第一営業部長、川上尚人被告(51)の判決が21日、札幌地裁であり、梶川匡志裁判官は懲役1年、執行猶予3年を言い渡した。川上被告は、裁判官の正面に立ち、身じろぎひとつせず両手を真っ直ぐに伸ばして判決を聞いていた。
判決言い渡しの後、梶川裁判官は川上被告に着席を促し、判決理由を説明。
川上被告は昨年11月の札幌市発注トンネル工事で、市の契約管理課元係長小泉健治被告(50)から工事の最低制限率(85・97%)の情報を不正に入手。この情報を元に当時勤務していた岩田地崎が2億8487万円で応札し落札。
梶川裁判官は、「公正、公平であるべき入札を著しく害した悪質な犯行」とし、「安易で身勝手な動機に酌量の余地はないが、罪を認めて反省している」と検察側求刑の懲役1年に対し、執行猶予3年を付けた。
梶川裁判官は、「この判決が確定してから3年間何も悪いことをしなければ服役しなくても良い。この期間中に万引きなどをすると執行猶予はなくなって懲役刑に服さなければならない。慎重な生活をしてください。間違っても悪いことをしないでください」と分かり易く述べていた。