心理カウンセラーでオフィスレアリーゼ代表の神田裕子氏が3日、キャリアバンク(本社・札幌市中央区)やSATO社会保険労務士法人(同・同市東区)などSATOグループのオープンセミナーで講演した。『オフィスのストレスマネジメント最新情報』をテーマに部下の育成法など会場の笑いを誘いながら2時間に亘り話した。(写真は、講演する神田裕子氏)
神田氏は藤女子大卒。一般企業の秘書を経て1996年に心理カウンセラーとして独立。ゆうカウンセリングオフィスを設立して心理カウンセラー養成スクールを道内や東京、熊本で開校、カウンセラーの育成に力を入れてきた。2014年に会社を譲渡してメンタルヘルスやコミュニケーションの講演・研修を行うオフィスレアリーゼ(東京)を設立、同年7月には一般社団法人コンピテンスカウンセリング協会を設立、代表理事に就任している。
現在の活動の中心は東京だが、この日は久々の札幌入りで会場となった札幌市中央区のキャリアバンクセミナールームには80人を超える企業の総務担当者などが集まり、笑いを交えながらテンポ良く話す“神田節”に聞き入った。
「以前の部下育成法は、8対2で『8叱り、2教える』でしたが、現在は4対2対4。『4褒めて2叱り4教える』です。褒める場合も具体的に褒めて行動や内面を褒めること。35歳以下の人たちは存在価値を自分で見つけられなくなっている場合が多い」と述べ、「叱る場合は叱る目的をはっきりさせて人格否定はしない。教える場合も丸投げではなく、『一緒に頑張ろう』と一言加えると良い」などと話した。
さらに、「最近は叱ることができない上司や親、先生がいます。叱るパワーがない、叱るタイミングがわからない、叱る物差しがないのが理由。パワーは栄養剤を飲んでもらうしかないが、叱る物差しは企業や本人の仕事に向かう理念・信念が乏しいことが原因。企業なら経営理念を浸透させていく努力をして叱る判断基準を徹底しなければいけません」と解説した。
また、会話には数学などと同じように公式があることを紹介し、「コミュニケーションは性格ではなくてスキルと考えたほうがわかりやすい。会話の公式は、①感情をまとめてフィードバックすること②質問すること――に要約されます。投げかけられた会話に答えようとするのではなく『つらかったね』などと相手の気持ちをフィードバックすること、さらに『どう思っているの』などと質問することでコミュニケーションが円滑に進むようになります」とスキルの一端を示した。
神田氏は、11日にも札幌市中央区の「TKP札幌ビジネスセンター」で出版記念を兼ねた講演会も開催する。