第三セクター・旭川空港ビル株式会社の定時株主総会がこのほど開かれ、社長に西川将人・旭川市長、専務に佐々木恵一・市総合政策部空港担当部長の就任が決まった。西川市長が元市長で社長を務めていた菅原功一氏の居座りにしびれを切らし自ら社長に就いたと見られている。(写真は、旭川空港ビル)
9年間社長を務めた菅原功一氏(元市長)と専務だった眞鍋嘉男氏(元市国際化担当参事)は退任した。
市は5月上旬、これまで役員に推薦してきた菅原氏と眞鍋氏に代わり、西川市長と佐々木部長を推薦すると文書で同社に伝えていた。
関係者によると、市が菅原氏に推薦しない意向を最初に伝えたのは2月中旬。これに菅原氏が同意しなかったことから、その後数回、市幹部と菅原氏が面談。だが結局、菅原氏が納得することはなかったという。
菅原氏が同空港ビル社長に就任したのは、市長3期目終了の約5ヵ月前。4選出馬をしないことを決めた菅原氏が、自身のポストを自身で用意した形となった。この時、社長だった元助役は任期終了前に辞表を出して、突然辞任した。この時、「菅原市長(当時)の意向に納得しなかったのではないか」との憶測を呼んだ。
旭川市の市役所退職者の第三セクター役員就任期間は原則として4年で、特別の事情がある場合のみ、2年の延長が可能としている。菅原氏と眞鍋氏は、この規定を大幅に超えていた。
西川市長は5月の定例記者会見で「お二人には旭川空港の国際化などで実績を作っていただいたが、今回推薦すると就任期間が10年を過ぎ、異例中の異例の事態になる」と説明し、「旭川空港は国際化や空の駅構想、空港の拡充など大きな課題を抱えている。今まで以上に、行政と空港ビルが連携して事業を進めていくことが重要」と市と同ビル運営の一体化を強調していた。
旭川空港ビルの株主総会では、議案に対する異議は出ず、30分ほどで終了。総会後の取締役会で西川社長は「道北の拠点空港として行政と一体となった運営をする」と淡々と語った。
市長と社長の兼務が可能か疑問視する声もあるが、市幹部は「パイロットだった市長の空港ビルに対する強い思い入れが、今回の人事の一因にもなっていた」と解説する。
同社の資本金は4億円。市が1億800万円を出資(全体の21・6%)。この他、主な株主の出資割合は、日本航空(20%)、北海道(6・4%)、旭川商工会議所(6・2%)、北洋銀行(5%)、北海道銀行(4%)、旭川信用金庫(4%)、日本通運(3%)。
社長と専務を除く取締役は次の通り(任期は二年)。
常務=島村恭・日本航空広島支店長、取締役=山下裕久・旭川商工会議所副会頭、藤池英樹・北洋銀行旭川中央支店長、清河智英・北海道銀行旭川支店長、原田直彦・旭川信用金庫理事長、芳賀行雄・日本通運札幌航空支店長、国本学・北海道空港社長、監査役=木呂子真彦・日本経済研究所嘱託、山本進・東神楽町長