マンションと札幌軟石を使った石蔵がドッキング――札幌市中央区北1条東2丁目に一風変わった建物がある。2階建ての札幌軟石を使った石蔵がマンションからニョッキリと突き出たような不思議な光景。IMG_5834(写真は、再現された石蔵とマンションがドッキングした建物)

 この不思議な建物が出現したのは今年初め。マンションは5階建ての賃貸で何の変哲もないごく普通の建物だが、ある部分は3階から石蔵が前にせり出している。石蔵にマンションを付け足したような構造に見える。
 
 京都の新京極には鳥居のてっぺんの両端が民家2階に食い込んでいる珍風景があるが、こちらもそれに負けず劣らずの珍風景。実はこの石蔵、札幌軟石を使ったものだそうで、もともとは1931年に建てられた勇崎恒次郎商店のバナナ貯蔵庫の名残り。旧タケヤ刷子倉庫として使われた後は、地域の歴史や景観を継承するランドマークとしてレストランや喫茶店に利用された。
 耐震問題もあって解体されたが、マンション新築に合わせてオリジナルの軟石を活用、かつての石蔵の趣が再現されたという訳。
  
 この石蔵は、2階建てで延べ面積214㎡、大小4つのスペースに分けられている。今年3月末からは、北海道教育大学が芸術、スポーツ文化の発信拠点、HUG(ホッカイドウ・ユニバーシティ・オブ・エデュケーション=HueのHとユニバーサルのU、ギャラリーのGを略した)として利用。同大の学生が芸術作品を展示したり、演奏会、市民向けの健康教室を開催する。
 今風のマンションと軟石の石蔵が84年間の時を経てドッキング、ふと立ち止まりたくなる珍風景だ。
IMG_5840(石蔵は道教育大岩見沢校の学生たちが主として利用する。現在は絵画展示が行われている)


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