金色のシルクハットと日の丸の扇子がトレードマークのオリンピックおじさんとして知られる山田直稔さん(88)が9日、上田文雄札幌市長(66)を表敬訪問した。さっぽろ雪まつりなどを観光するために札幌を訪れた山田さんが、冬季オリンピック招致を表明した札幌市を元気づけようと市長と面談したもので、上田市長は「これから誘致活動をしていくので山田さんの応援扇子で“札幌頑張れ”と言っていただければ」などと要請していた。(写真は、上田文雄市長と握手するオリンピックおじさんこと山田直稔さん=左)
山田さんは、1964年の東京オリンピック以来、2012年のロンドンまで13大会連続で開催地に出かけて応援を続けており、その出で立ちからオリンピックおじさんとして知られている。冬季オリンピックは、長野大会のみ応援に赴いたが、札幌市が2026年開催に向けて冬季オリンピック大会誘致を表明したことから、今回山田さんが雪まつり観光で札幌入りしたのを機に上田市長を表敬訪問した。
上田市長は、「札幌は72年の冬季オリンピックで街の骨格ができ、それ以降人口も急激に増えてオリンピックと切り離せない歴史があります。さらに街づくりを進めていくためにはオリンピックという大事業をやりながら困難を乗り越えていくことが不可欠として招致決定をしました。JOCに正式に日本の立候補地として認めていただき、国を挙げて招致活動が頑張れるようにこれから1年くらい計画をしっかり作っていくので、その中で山田さんのお力を貸して頂ければ」と語っていた。
長野冬季オリンピック(98年2月開催)の開催前に、山田さんは当時の塚田佐長野市長に呼ばれてアイデアが欲しいと要請されたことを明かし、「開会式では相撲力士が裸で勢揃いしましたが、あれは私が当時の曙関に提案したのがきっかけ。曙関は93年の1月場所で優勝、2月に雪の降る中を明治神宮の石畳で土俵入りをしています。それを私が覚えていたので長野五輪でもぜひやってもらいたいとお願いしたら『やろう』となったのです。長野五輪では冬季大会として世界初のことがいっぱいありました。ちょっとしたアイデアで大成功します」と応えていた。
山田さんは、ワイヤーロープメーカーで大阪本社の浪速製鋼の関東地区総代理店の浪速商事を60年に東京都で設立。現在はホテルや不動産などの子会社を含めて浪商グループ会長を務める。長嶋茂雄氏の命名による「国際オリンピック応援団長」、大沢親分こと大沢啓二氏が名付けた「プロ野球マスターズリーグ応援団長」、佐渡ケ嶽親方が名付けた「大相撲振興応援団長」、指圧の浪越徳治郎氏が送った「笑顔の交流 日本国笑裁」という肩書を持っている。
上田市長は今年4月で3期12年の市長任期を終えて勇退、実質的な冬季大会誘致は次期市長が担うことになる。