2004年と05年の夏の甲子園大会で連覇した駒大苫小牧高野球部監督だった香田誉士史氏が再び北海道に戻ってくる可能性が出てきた。旭川を拠点に道北の政治経済等を扱う月刊誌『メディアあさひかわ』が6月号で報じているもので、旭川実業高校野球部の主要ポストに迎える水面下の交渉が進められているという。実現するかどうかは未知数だが、全国的なネームバリューと実績のある香田氏が北海道で采配を振るえば大いに注目を集めそうだ。
香田氏は、1995年に駒大苫小牧高の社会科教員兼野球部顧問に就任し、01年に監督として駒大苫小牧高を32年ぶりの甲子園出場に導いた。圧巻は、04年と05年の夏の甲子園連覇。翌年には3連覇を目指して甲子園出場を決め決勝戦に進み、田中将大投手と早稲田実業・斉藤佑樹投手との投げあいは再試合になるなど野球に疎い道民の間でも強い印象を残した。
3連覇こそならなかったが、堂々の準優勝。香田監督の名前は駒大苫小牧高とともに高校球史に残るものになった。
香田氏は、07年の夏の甲子園で初戦敗退した翌年春に駒大苫小牧高を退職し、同高と関係の深い鶴見大野球部コーチに就任し現在に至っている。
『メディアあさひかわ』によると、そんな香田氏を旭川実業高校が野球部の主要なポストに招聘するべく水面下で交渉を進めているという。香田氏が北海道で再び高校野球と関わりを持ちたいと考えていることや、旭実高では22年間野球部を率いた込山久夫監督が2年前に退任し、38歳の岡本大輔監督が就任、その岡本監督をサポートするベテラン指導者が欲しいという事情が合致したためと見られる。
現在、水面下で交渉が進められていると伝えられているが、香田氏側は甲子園出場の強豪高のように活動費を別枠で用意して欲しいと要請、旭実側は他の体育会活動との兼ね合いがあるため検討中とされている。
香田氏と親しい札幌市内の経済人は、こう語っている。「香田は、自身の出身地である佐賀の高校を第一候補に考えており北海道の高校はその次の候補。香田は甲子園出場を果たせる監督ではなくて、甲子園で優勝に導ける監督だ。それなりの条件を提示できる高校でなければ難しいだろう」
旭実高入りについては「ない、ない」と強く否定する。この経済人は上場企業のトップを務める人物だけに、インサイダー情報にはとりわけ繊細。「ない、ない」の真意は如何に。